ある政治学者のホームページ奮戦記――わが家のできるまで、できてから(2023年1月ー)
ここには、<What's
New>で定期的にトップに現れた、本ホームページの作成過程、試行版への反響、更新の苦労話、メールへのご返事、ちょっといい話、外国旅行記・滞在記、研究室からカレッジへの改装の記録が、日誌風につづられます。趣味的なリンクガイドも兼ねます。ま、くつろぎのエッセイ集であり、対話のページであり、独白録です。日付けは下の方が古いので、逆読みしてください。
古い記録は、「図書館特別室3 ネチズン・カレッジ生成記録」として、以下のようになっています。お好きなところへどうぞ。
- ROOM 1 =1997年8-9月分過去ログ
- Room 2 =1997年10-12月
- Room 3 =1998年1-3月
- Room 4=1998年4-6月
- Room 5=1998年7-9月
- 特別室「ベルリン便り」=98年10-12月、99年8-9月、2000年8月
- Room 6=1999年1-4月
- 特別室「メキシコ便り」=1999年5-7月・2000年5月
- Room 7=1999年10-12月
- Room 8=2000年1−6月
- Room 9=2000年7−12月
- Room 10=2001年1−6月
- Room 11=2001年7−12月
- Room 12=2002年1−6月
- Room 13=2002年7−12月
- Room 14=2003年1−6月
- Room15=2003年7-12月
- Room16=2004年1-6月
- Room17=2004年7-12月
- Room18=2005年1-6月
- Room19=2005年7-12月
- Room20=2006年1-6月
- Room21=2006年7-12月
- Room22=2007年1-6月
- Room23=2007年7-12月
- Room24=2008年1-6月
- Room25=2008年7-12月
- Room26=2009年1-6月
- Room27=2009年7-12月
- Room28=2010年1-6月
- Room29=2010年7-12月
- Room30=2011年1-6月
- Room31=2011年7-12月
- Room32=2012年1-6
- Room33=2012年7-12月Room33=2012年7-12月
- Room34=2013年1-6月
- Room35=2013年7-12月
- Room36=2014年1-12月
- Room37=2015年1-12月
- Room38=2016年1-12月
- Room39=2017年1-12月
- Room40=2018年1-12月
- Room41=2019年1-12月
- Room42=2020年1-12月
- Room43=2021年1-12月
Room44=2022年1-12月
●Welcome to KATO Tetsuro's Global Netizen College!
English is here
所得倍増でも資産倍増でもなく、軍備倍増に邁進する岸田宏池会内閣!
●2023・2・1 新年早々、ついにコロナ感染を体験しました。正月に家族が集まったさいに、ウィルスが残っていたようです。PCR検査陽性後の1週間、自宅自室蟄居の不便な生活を余儀なくされました。ただし38度5分の熱が出てPCR検査を受けた以上には進行せず、重症化はしませんでした。発熱外来でコロナ用の薬を勧められましたが、昨年の手術・入院後大量の薬品を摂取していますから、副作用を恐れて断りました。コロナ用の発熱外来は大変な混みようで、おくすり手帳の提示は求められませんでした。どうやら感染症対策と基礎疾患医療は、別なものとして扱われているようです。5回のワクチン接種が重症化予防に効いたのかどうかはわかりません。ワクチンが感染予防に無力だったことはわかりました。病院の様子からすると、現在の第8波は、この3年間で最も感染が広がり、入院病棟は逼迫しているようでしたが、発熱ぐらいでは入院できないこともよくわかりました。陽性判明後、スマホによる保健所への体温・酸素飽和度申告、病院からの症状チェックの電話はありましたが、「症状が悪化したら救急車を呼んでください」という対応で、救急車をよんでもたらい回しになる状況は自治体マターで、病院側チェックの範囲外のようでした。
● 3年前から、日本における新型コロナウィルス感染症の進展を追いかけてきました。コロナ禍前に戦時関東軍731部隊の人体実験・細菌戦を書物にしていた関係で、日本の感染症対策が731部隊の影をひきづってきたことを本サイトで問題にし、『パンデミックの政治学』(2020年)、『731部隊と100部隊』(小河孝との共著、2022年)などにまとめてきました。コロナ感染の実体験は今回が初めてですが、昨年は半年以上を2回の入院・手術・リハビリですごし、日本の医学と医療の問題を、いやでも考えざるをえませんでした。欧米で支配的だったロックダウン・国家補償方式でも、一部地域で採られた集団免疫獲得のための不作為とも違い、「ダイヤモンド・プリンセス号」以降のクラスター潰し中心の日本の初動対策は、端的に言って、安倍晋三による談合・汚職がらみの東京オリンピック開催のためのスケジュール合わせでした。そして、アメリカの国家非常事態宣言解除に追随でしょうか、5月8日を目処に感染症2類相当からインフレエンザ並みの5類に変更するという対策解除です。5月の広島G7サミットをマスクなしで成功させたいという岸田文雄の願望から出た、またしても科学と医療を政治に従属させた決定のようにみえます。つまりパンデミックの入り口から出口まで、日本ではワクチン以外の有効な対策がないまま、感染者数・死者数の正確な統計も作れぬまま、年末年始に世界一の感染を記録し、高水準の死亡率を保った状態で、パンデミックの舞台そのものから退出しようというのです。基礎疾患を持つ高齢者にとっては、不快かつ不安です。
● 安倍晋三が銃撃された後の2022年後半、戦後日本政治の宿痾というべき自民党と旧統一教会の奇怪な癒着が明らかになり、安倍国葬を強行した岸田内閣の支持率は低下し続けました。その統一教会との関係断絶も曖昧にしたまま、5月19−21日のG7ヒロシマサミットを政権浮揚・反転攻勢のターゲットに設定しています。COVID19感染症の2類相当から5類への転換、ゼロコロナを諦めウィズコロナで人獣共通感染症に対処しようとしています。インバウンド需要再興など経済再建を最優先し、医療弱者切り捨てになるでしょう。そればかりか、ウクライナ戦争の継続、米中対立激化を見据えて、日本の安全保障戦略の大転換、原発依存エネルギー政策への切り替えも、世界にアピールしようとしています。今日の岸田派は、池田勇人・大平正芳・宮澤喜一ら財務省OB・自民党宏池会の流れを汲むハト派なはずで、それがイデオロギー色の強い安倍派=清和会に対抗し反転する振り子理論で、自民党の派閥政治はバランスを保つはずでした。ところが21世紀の長い清和会支配の中で、どうやら宏池会はハト派=軽武装・平和経済色を失ってしまったようです。池田内閣の所得倍増計画や宮澤内閣の資産倍増計画の継承のはずが、なんと敵基地攻撃を「反撃」と言い換えて、防衛費をNATO並みのGDP2%に倍増しようという「軍備倍増計画」を目玉にしようとしています。憲法も国会・弱小野党も無視されて、すべては行政府の閣議決定です。本来世界に核廃絶をアピールすべきヒロシマ・サミットが、日米同盟強化と世界第3位の軍事大国化への示威機会です。小選挙区制を導入した1990年代「政治改革」の歴史的帰結です。
● 昨年療養中に書いた
「 コミンテルンの伝統と遺産」が活字になりました。東京唯物論研究会の『唯物論』誌96号(2022年12月)の特集「歴史的存在としての『共産主義』運動」への寄稿ですが、もともと『初期社会主義研究』第29号(2021年)に寄稿した「コミンテルン創立100年、研究回顧50年」の基本内容の再使用で、「はじめに」「おわりに」のみ書き加えたものです。その理由も書いてありますが、同時期に「日本共産党100年」に関連した出版企画が相次ぎ、二度の入院・手術中だったのでお断りし、早くに頼まれていた『唯物論』誌のみに寄稿したものです。その「日本共産党100年」ものは、中北浩爾さんの労作をはじめいくつか刊行され、党首公選制を主張したり、基本政策の変更を求める動きも見られ、かつての討論サイト「さざ波通信」も復活したとか。20年前に私は「インターネットは民主集中制を超える」と述べたことがありますが、状況はあまり変わっていないようです。博物館入りした党名や高齢化した指導部人事ばかりでなく、なぜ日本の実質賃金は上がらず韓国以下なのか、中国をどう見るのか等、安倍=岸田政治に対抗する本格的なオルタナティヴの構築へと、議論を開いてほしいものです。
● 昨年は、獣医学の小河孝教授とコラボした共著『731部隊と100部隊ーー知られざる人獣共通感染症研究部隊』(花伝社)、私が代表をつとめる尾崎=ゾルゲ研究会のシリーズ第一弾、A・フェシュン編・名越健郎・名越洋子訳『ゾルゲ・ファイル 1941−1945 赤軍情報本部機密文書』(みすず書房)が刊行されました。
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「等身大のゾルゲ解明へーー尾崎=ゾルゲ研究会発会主旨」(毎日新聞、2022年2月13日夕刊)
シリーズ「新資料が語るゾルゲ事件」尾崎=ゾルゲ研究会編(みすず書房)
アンドレイ・フェシュン著、名越健郎・名越陽子訳『ゾルゲ・ファイル 1941−1945』(みすず書房)
「蘇るスパイ・ゾルゲ」(『週刊朝日』2022年11月11日号)
「スパイ事件 公表から80年 ゾルゲにソ連側が不信感 機密文書まとめた資料集邦訳」(毎日新聞夕刊2022年12月14日)
「伝説のスパイ ゾルゲの謎に迫る、刑死から78年、書籍続々」(朝日新聞夕刊2023年1月20日)
● 『戦争と医学』誌22巻(2021年12月)に寄稿した「戦前の防疫政策・優生思想と現代」をアップしました。日独関係史がらみで、『岩手日報』2022年2月20日の社会面トップ記事、「可児和夫探索」の調査取材に協力しました。可児和夫は、ナチス・ドイツ敗北後に日本に帰国せずベルリン近郊に留まりソ連軍に検挙された医師・ジャーナリストで、もともとナチスの作った東独のザクセンハウゼン強制収容所に、1945−50年収監されていた唯一の日本人でした。片山千代のウクライナ「ホロドモール」体験に似た収容所体験記「日本人の体験した25時ーー東独のソ連収容所の地獄の記録」(『文藝春秋』1951年2月)を残した、現代史の貴重な証言者です。本サイトの更新も、体調との関連でまだまだ不安定ですが、カレッジ日誌(過去ログ) の方から、論文やyou tube 講演記録をご参照ください。
今年も安倍晋三の亡霊が、岸田文雄を走らせるのか…!
●2023.1・1 2022年は、2月にプーチンのウクライナ侵略戦争が始まり、世界が新冷戦とよぶべき分断に引き込まれました。コロナ・パンデミックはすでに3年、中国の遅ればせなゼロ・コロナからウィズ・コロナへの転換によって、世界が再び人獣共通感染症の危機にさらされかねません。第一次世界大戦の末期に、「スペイン風邪」が5億人感染・1億人死亡の災禍をもたらしたように。COVID19は、すでに6億6千万人に感染し、668万人の死者を出して、なお進行中です。そこに戦争が重なって、生態系破壊・気候変動も深刻になります。プーチンは、生物化学兵器・核兵器の使用さえ示唆しています。世界的なインフレ、食糧・エネルギー危機は、それらの複合的帰結です。
● 日本の危機は、世界的危機の一環であると共に、21世紀に入っての長期停滞と重なります。深刻な、歴史的退潮期にあります。それをもたらした唯一ではないが決定的な政治家が、安倍晋三でした。アベノミクスと命名した金融操作中心の経済政策、大企業には減税で内部留保をためこませながら庶民には貧困と生活苦を強いてきた中間層解体と格差拡大、独裁者や権威主義者に取り入り外遊は多かったが成果の上がらなかったパフォーマンス外交、そして、創価学会と統一教会など宗教右翼の協力を得た選挙での自民党・公明党改憲勢力の連続勝利、その長期権力を恣意的に用いた日米同盟一辺倒の軍事化・安保法制から教育改悪・学術体制形骸化、総じて日本の政治経済社会の脆弱化・国際競争力喪失を推進してきました。憲政史上最長の首相を退いた後も、権勢をふるい続けました。
● 昨年夏の統一教会信者子弟による安倍晋三銃殺は、安倍政治を清算させるどころか、もともと安倍独裁のスタイルから距離をおいて政権に就いた岸田文雄を、亡霊となった安倍の政策的悲願の実行者・駆動者に変身させました。安倍晋三の国葬を国会にもはからずに決定・実行した上で、原発依存のエネルギー政策、NATO並みの日米防衛体制構築に、踏み切りました。「戦後民主主義」も「3・11体験」も清算する暴挙です。国会では統一教会問題や失言・失点だらけの大臣・政務官更迭で野党に押され、支持率は最低まで落ち込みながら、原発再稼働・継続と防衛費倍増の歴史的転換は、年末の閣議決定でした。行政府の長でありながら立法権者としてふるまった安倍晋三にならってか、「国民の声」は聞かず、安倍の亡霊とアメリカの「神の声」に導かれて疾走し、この国と庶民の生活を、奈落の底に突き落とそうとしています。歴史の逆走です。何とか食いとめたいものです。
● イタリアもドイツも日本も、何やらキナ臭い新年です。自分自身が後期高齢者となり、昨年は、生まれて初めての大手術を体験し、入退院を繰り返してきました。研究も執筆もままならず、ウクライナ戦争にも岸田政治にも、十分な発言をできずにきました。外出制限と書庫使用禁止で、図書館通いも文献研究もできませんでした。長期療養とリハビリで、徐々に日常生活を取り戻しつつありますが、まだまだ本調子には遠く、自分の体調と重ね合わせて、日本の政治経済への憂鬱な見通しを、体感せざるをえません。ただし、世界全体に目配りすれば、希望につながる芽が見出される時があります。2023年は、体力回復をはかりながら、若い世代に期待し、そうした希望への道を探求していきます。
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https://www.msz.co.jp/book/detail/09514/
https://www.msz.co.jp/news/topics/09514/ 清水亮太郎「ゾルゲ神話を越えて」
「蘇るスパイ・ゾルゲ」(『週刊朝日』2022年11月11日号)
スパイ事件 公表から80年 ゾルゲにソ連側が不信感 機密文書まとめた資料集邦訳(毎日新聞夕刊2022年12月14日
● 昨年は、獣医学の小河孝教授とコラボした共著『731部隊と100部隊ーー知られざる人獣共通感染症研究部隊』(花伝社)、私が代表をつとめる尾崎=ゾルゲ研究会のシリーズ第一弾、A・フェシュン編・名越健郎・名越洋子訳『ゾルゲ・ファイル 1941−1945 赤軍情報本部機密文書』(みすず書房)が刊行されました。『戦争と医学』誌22巻(2021年12月)に寄稿した「戦前の防疫政策・優生思想と現代」をアップしました。日独関係史がらみで、『岩手日報』2022年2月20日の社会面トップ記事、「可児和夫探索」の調査取材に協力しました。可児和夫は、ナチス・ドイツ敗北後に日本に帰国せずベルリン近郊に留まりソ連軍に検挙された医師・ジャーナリストで、もともとナチスの作った東独のザクセンハウゼン強制収容所に、1945−50年収監されていた唯一の日本人でした。片山千代のウクライナ「ホロドモール」体験に似た収容所体験記「日本人の体験した25時ーー東独のソ連収容所の地獄の記録」(『文藝春秋』1951年2月)を残した、現代史の貴重な証言者です。本サイトの更新も、体調との関連でまだまだ不安定ですが、カレッジ日誌(過去ログ) の方から、論文やyou tube 講演記録をご参照ください.