ネチズン・カレッジ日誌にようこそ!

ある政治学者のホームページ奮戦記――わが家のできるまで、できてから(2020年1月ー

 ここには、<What's New>で定期的にトップに現れた、本ホームページの作成過程、試行版への反響、更新の苦労話、メールへのご返事、ちょっといい話、外国旅行記・滞在記、研究室からカレッジへの改装の記録が、日誌風につづられます。趣味的なリンクガイドも兼ねます。ま、くつろぎのエッセイ集であり、対話のページであり、独白録です。日付けは下の方が古いので、逆読みしてください。

古い記録は、「図書館特別室3 ネチズン・カレッジ生成記録」として、以下のようになっています。お好きなところへどうぞ。

 

禁酒令・灯火管制に見回り隊、「神火リレー」が消えそうなので自衛隊出動と学徒動員、それでオリンピック強行?

かと 2021.5.1  4月25日に、日本政府の第三次緊急事態宣言発動です。東京の感染者数が高止まりから増勢に転じ、感染力の強い変異株が早くに入った大阪・兵庫はすでに医療崩壊、自宅待機のまま亡くなる人まで出てきました。もともと第二次緊急事態宣言の解除が早すぎました。まだ東京で毎日300人も感染していたのに、7月オリンピックを開催したいがために3月25日からの福島「聖火リレー」開始に合わせて第二次宣言を解除し、そのリバウンドに変異株が重なって三回目、全国的な第四波です。5月11日まで4都府県となっていますが、誰もそれで抑え込めるとは思っていません。翌週IOCのバッハ会長が来日するので、それまでに高止まりにして蔓延防止等重点措置に移行する算段でしょう。そのための「緊急事態」指標が、酒類提供禁止の飲食店禁酒令、夜のネオンを消す灯火管制、違反する居酒屋・路上飲酒をチェックする見回り隊です。相変わらずPCR検査拡大・医療体制集中整備はなく、生活補償なき自粛・休業要請です。医療従事者のワクチン接種さえできない段階で、人の流れは大きく変わらず、介護施設や学校にもクラスター発生です。

かと 新型コロナウィルスによる死者は、日本でも1万人を越えました。世界の死者数320万のなかではアメリカ57万、ブラジル40万、インド20万等々に比して大きくはありませんが、東アジア・太平洋ではインドネシア、フィリピンと共に突出し、中国全土の2倍、韓国の5倍、オーストラリアの10倍以上です。「Xファクター」は確かに欧米との比較で効いたと思われますが、それは台湾・中国・韓国・ベトナム等では遺伝学的に有効であっても、「清潔好きの日本文化」などではなかったことも分かってきました。感染者数の60万も、世界192か国/地域の中で38番ほどで、もはや極端に少ない国という評価は消えました。台湾やニュージーランド、あるいは大国でも中国がいうなら別ですが、日本が「コロナに勝利した証し」を語る資格がないことは、明らかです。感染はおさまるどころか、世界で1億5000万人、インドの1日30万人感染・3000人死亡を始め、変異を重ねて広がり続けています。

かとこれに対して世界では、ワクチン接種による自己免疫型抑え込み、2回接種とPCR検査での「ワクチンパスポート」による日常生活回復が目指されています。ワクチン生産国であるアメリカやイギリス、それに中国やロシアでは、ワクチン接種が進んでいます。併行してワクチン調達・輸出・援助の米中「ワクチン外交」が展開されます。イスラエルやアラブ首長国連邦(URE)は、その素早い外交力でワクチン接種6割・4割を完了しています。この面では、日本はおそろしく稚拙・無力でミゼラブル。医療大国と自称してきたのに国産ワクチンを作れず、世界一の同盟国と誇ってきたアメリカからも十分分けてもらえず、接種率1%以下という超後進国。未だに医療従事者分さえ調達できず、高齢者用の日程も不確かで、いずれにせよ希望者全体に行き渡るのは、来年以降となります。

かと 4月25日に、「聖火リレー」は「神火リレー」になりました。「東京五輪の聖火リレーは25日、宮崎県での初日を迎えた。全国16府県目。天の岩戸伝説など、神話ゆかりの高千穂町を出発」ーースポンサー企業宣伝車の騒音・お祭り騒ぎや国営放送化した公共放送の反対意見無視・消去はそのままで、菅首相の願った五輪ムードの盛り上がりはなく、自治体予算を使った神がかりの祈祷です。もともと3.11からの「復興オリンピック」と銘打たれた2020東京オリンピックは、新型コロナ感染に対する危機管理としては、科学の眼を曇らせる疫病神でした。福島原発事故の「アンダー・コントロール」の嘘からはじまって、本来他にまわしうる膨大な税金を、電通等協賛企業の官民癒着に費やしてきました。開催予定の半年前にコロナウィルス第一波を迎え、日本では感染者数を小さくみせるためにPCR検査を拡げないという、本末転倒の感染政策が採られました。厚労省医系技官・感染研・地方衛生研・保健所の「行政検査」とデータ独占、政府の経済復興優先・「補償なき自粛・休業」路線がはじまりました。世界的パンデミックで1年延期が決まっても、隔離した感染者のための集団病棟や軽症者・無症状者用の宿舎などに最適な有休施設をオリンピック用に多数確保しながら、リザーブからはずして感染対策にまわすことはできませんでした。結局手洗い・マスクや3密回避という、もはや日常化し警鐘効果をなくしたルーティンのほかは、飲食店の酒類販売禁止、ステイホームを促すネオン灯火管制、大量のアルバイトを使った繁華街パトロール・見回り隊など、「日本精神」で一億玉砕を叫んでいた時代と似た、神がかった精神主義です。「神火リレー」とは、1940年の「幻の東京オリンピック」の日中戦争による「返上」のさい、右翼・国粋主義者が軍部と結んで主張した、ギリシャからの「聖火リレー」に代わる高千穂・出雲から採火した神道リレーでした。

かと もっともIOCのバッハ会長から「日本国民の精神は賞賛の的です。粘り強さや、へこたれない精神を日本国民が持っていることは、歴史を通して証明されています」などとおだてられて、菅首相も小池東京都知事も、「無観客でもオリンピック実施」の構えをくずしません。そこで出てきたのが、日本的精神主義と対を成す、軍事的危機管理、自衛隊の治安出動です。まずは感染対策として必須のワクチン接種、5月から東京・大阪での新型コロナウィルスワクチンの大規模接種センターに、「医官や看護官による組織的活動が可能な唯一の国の組織である自衛隊」があたることが決定されました。「7月末までに高齢者への接種完了」のためだそうです。なぜかそのニュースは、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が日本看護協会に500人の看護師派遣を要請、医師200人も数ヶ月必要と申し入れ、それでなくてもコロナ対策最前線で要員不足で悲鳴をあげている医療従事者の「国策動員」の仕方が問題になっている局面で流れました。大阪で実際にはじまった「トリアージ」「命の選択」の全国版に、いよいよ関東軍731部隊の末裔である自衛隊衛生科が、「有事」として出動しそうです。医官看護師も1000人以上はいるので、ワクチン接種ばかりでなく、オリンピックにも動員可能です。「災害派遣」のような法的根拠は後付けされるでしょう。極めつけが、海外からの観光客は断ることを決定し、国内でも観客参加が危うくなったところで報じられた、東京都の「東京五輪の観戦に小中学生ら81万人を動員計画」「 感染拡大最中に各学校に通達、観戦拒否すると欠席扱い」というスクープ。昨年12月に東京都の幼稚園から小中学校に日程案が送付済みで、「競技場への移動は電車やバス」だといいます。狂気の「学徒動員」計画です。

かと オリンピック決行はいまや、菅内閣の最重要な政治日程です。こうした「緊急事態」下のオリンピック強行に、安倍亜流内閣で人心を失いつつある菅首相の意向と焦りがあることは当然です。4月の日米首脳会談は、屈辱の冷遇外交でした。夕食会も開けず、ハンバーグでは会談したが、米国のオリンピック参加の確約はとれませんでした。米中冷戦さなかに半世紀ぶりで台湾問題を共同声明に明記した米国支援で、昨年は習近平を国賓待遇で招待していた対中関係は、深刻です。民主党バイデン政権で米国も国際的流れに復帰した脱炭素革命に便乗して、福島第一原発汚染処理水の海への投棄決定、福井県知事による40年以上の老朽原発の再稼働承認のバックラッシュです。この外交政策や、感染対策のもう一つの柱である医療体制デジタル化、マイナンバーカードでの国民総監視を含めた危機管理の全体像の下絵を描いているのは、どうやら政治家ではないようです。官邸官僚といわれる、首相が重用する高級官僚たちのようです。

かと 政府のオリンピック感染対策の会議を仕切っているのは、杉田和博官房副長官、例の日本学術会議6人任命拒否の仕掛け人です。日米首脳会談で首相に付き添い訪米しワクチン確保に動いたのは、厚労省でも外務省でもなく、どうやら「官邸のアイヒマン」国家安全保障局長北村滋のようです。杉田・北村はともに警察官僚出身、40年前の中曽根内閣・後藤田官房長官期からはじまった、危機管理を通じた旧内務官僚復権の頂点です。厚生労働省も、旧内務省では、地方支配の一機構でした。こうした問題を含め、日本の感染対策の無為無策の背後に、関東軍防疫給水部(731部隊)と軍馬防疫廠(100部隊)の亡霊が作用している問題について、3月13日、NPO法人731部隊・細菌戦資料センタ第10回総会で行った、「日本のコロナ対応にみる731部隊・100部隊の影」と題する記念講演は、you tube で。弁護士の深草徹さんから、学術論文データベ ースに、ka「学術会議任命拒否ーー憲法の視座から見る」の寄稿がありました。河内謙策著東大闘争天王山ーー「確認書」をめぐる攻防(花伝社2020)へのka『図書新聞』2月27日号に書いた私の書評、3月末発売の『初期社会主義研究』誌 第29号に寄稿した学術論文ka「コミンテルン創立100年、研究回顧50年」と共に、本サイトへアップしておきます。

「アベノマスク」から1年、変わった世界、変わらぬ日本の無為無策

かと 2021.4.1  日本政府の第二次緊急事態宣言は、飲食店の夜の人出を減らしただけで、感染を劇的に減らすことはできませんでした。重症者の医療受入状況を多少改善しただけで、外出抑制・自粛促進効果を失い、解除するとまもなく、今度は第四波の到来です。変異株によるリバウンドは、避けられません。この日本の感染対策の無為無策の背後に、関東軍防疫給水部(731部隊)と軍馬防疫廠(100部隊)の亡霊が作用している問題について、3月13日、NPO法人731部隊・細菌戦資料センタ第10回総会で、「日本のコロナ対応にみる731部隊・100部隊の影」と題する記念講演を行いました。その内容は、you tube で速報されましたが、その後主催者側で、当日の報告レジメ・パワポ原稿にもとづき最終版を編集してくれましたので、12月の第3波直前に行ってyou tube に入っている「ゾルゲ事件」「スパイの妻」講演の映像と共に、ご笑覧ください

●「日本のコロナ対応にみる731部隊・100部隊の影 」https://www.youtube.com/watch?v=l6YAsTQxDto&t=864s

(パワポ資料はPDF:https://xa0007.blogspot.com/2021/03/731100_28.html

かと ちょうど1年前の2020年4月1日、日本政府の第25回新型コロナウィルス感染症対策本部が開かれました。そこでの当時の安倍首相の演説の目玉が、「本日は私も着けておりますが、この布マスクは使い捨てではなく、洗剤を使って洗うことで再利用可能であることから、急激に拡大しているマスク需要に対応する上で極めて有効であると考えております。そして来月にかけて、更に1億枚を確保するめどが立ったことから、来週決定する緊急経済対策に、この布マスクの買上げを盛り込むこととし、全国で5000万余りの世帯全てを対象に、日本郵政の全住所配布のシステムを活用し、一住所あたり2枚ずつ配布することといたします」----海外からは「エープリル・フール?」とびっくりされた、いわゆる「アベノマスク」配付宣言でした。この日、東京では66名、大阪では34名の感染確認されました。千葉県での10名の感染については、一人一人の年齢・居住地・職業、直近の行動態様、濃厚接触の有無についての詳しい報告がありました。「アベノマスク」がピント外れの愚策であったにしても、4月7日にはじまる第一次緊急事態宣言下では、二桁の感染者数に恐怖し「自粛」する緊張感が、まだあったのです。日本はいわゆる第一波のピーク直前で、国内感染者累計2384人・死者58人でした。世界の感染者は100万人突破、死者の5万人ごえが、大きなニュースでした。私の『パンデミックの政治学』(花伝社)は、主としてこの第一波から夏の第二波までを分析しています。

かと それから1年後の世界は、大きく動いています。感染認定者1億3000万人・死者300万人近くで、100年前の「スペイン風邪」の惨状に近づいていきます。アメリカでは大統領が変わり、中国ではウィグル族や香港市民への強権発動が見られました。ワクチン接種はようやくはじまりましたが、厳しいロックダウン下でも、ヨーロッパでの感染対策をめぐる政府の人権・自由制限とそれに対する市民の異議申し立て、コロナ禍でも見られたアメリカのBLM運動やベラルーシ、香港、タイの民主化運動、最近のミャンマー・クーデタにいたる社会変動がありました。ナショナリズムの強まりと社会の分断、人種民族差別やヘイトスピーチが蔓延する中で、それに対するさまざまな抵抗も見られました。この一年の日本の特殊性は、世界と同じ社会分断・格差拡大を狭い島国で内向きに経験しながら、それに対する民衆の抵抗・異議申し立てが弱く、権力者・強者が危機便乗型支配と私利私欲実現を目指すのに対して、民衆内部での「自助・共助」が自粛自警団やマスク警察、感染者差別や医療従事者差別に容易に転化していく姿がみられたことでした。「東京オリンピック・聖火リレー」強行と自民党内の「国旗損壊罪」立法の動きは、その極致です。ちなみに、1940年の「幻の東京オリンピック」の際に、開催そのものに懐疑的な軍部から出された「聖火リレー」の対抗案は、ギリシャからではなく天孫降臨の地宮崎から東京への「神火リレー」案でした。2021年の倒錯した「東京2020オリンピック聖火リレー」は、「神の国」の「お寺と海と神社ばかり」という、なにやら「紀元2600年祭神火リレー」に似た、復古主義的「共助」に乗った感染拡大導火線になりそうです。

かと 「アベノマスク」決定から1年経った日本は、累計感染認定者数が50万人に、死者数が1万人に近づいています。1年前の第一波の累計を、一日で上回りそうな勢いです。4月1日は、日本の官庁・企業や学校にとっての新年度です。予算執行も、新年度に入りました。2020年度の新型コロナ対策で支出された日本の国家予算、もとはといえば国民の税金は、はたして感染対策に有効だったのでしょうか。感染第3波までの流れ、なかなか進まないPCR検査、相変わらずの医療体制とベッド数逼迫、医療従事者・看護師不足、進まない治療薬開発と間に合わなかった国産ワクチン、経済対策としてのGoToトラベルやGoToイートに比例しての感染の波の再発と飲食店時間制限の繰り返し、ささやかな休業補償では隠しきれない失業者・生活困窮者増大、社会全体での格差拡大と外国人労働者差別、等々。「アベノマスク」の布マスク2枚配付が、おしゃれな不織布マスク市場に変わった程度の変化で、経済復興に従属した感染対策、「自助・共助・公助」の「自助」優先・「公助」欠落の基本は変わりません。ちょうどもう一つの「緊急事態宣言」、3・11東日本大震災・フクシマ原発事故後の緊急・復興予算38兆円の10年後の後追い取材で、検証なきインフラ整備、被災者・被災地抜きの「復興事業」の実態、「復興」名目での便乗予算の流用無駄遣いが顕わになったように。

かと 私の3月13日の講演では、「日本のコロナ対応にみる731部隊・100部隊の3つの影」を、(1)世界の感染症対策を「人間の安全保障」から「国家安全保障」の生物兵器・バイオハザード・バイオテロ問題にした、日本の戦時細菌戦・人体実験とオウム真理教、(2)国立感染症研究所・東大医科研などコロナ対策専門委員会に受け継がれた731部隊・100部隊のデータ独占・秘密主義の伝統、(3)731部隊・100部隊関係者の生き残り策としての占領期ワクチン製造と「ワクチン村」への流れ、と論じています。(2)は、私の他に、上昌広さん『日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか』(毎日新聞出版)山岡淳一郎さん『感染症利権』(ちくま新書)らも論じています。(1)については、ウィルス学者山内一也さんの多くの著作、日本獣医学会ホームページの連載「人獣共通感染症」連続講座のほか、旧ソ連における生物兵器開発と開発事故の実態を暴いたケン・アリベックバイオハザード』(二見書房)が、ヒントになりました。(3)は、満州における軍馬の鼻疽と関東軍』(文理閣)の著者である獣医学者・小河孝さんと共に探求を進めている関東軍軍馬防疫廠=100部隊研究の中間報告で、斎藤貴男さん故芝田進午さん日本型ワクチン研究開発史をベースにしています。弁護士の深草徹さんから、学術論文データベ ースに、ka「学術会議任命拒否ーー憲法の視座から見る」の寄稿がありました。河内謙策著東大闘争天王山ーー「確認書」をめぐる攻防(花伝社2020)へのka『図書新聞』2月27日号に書いた私の書評と共に、アップします。3月末発売の『初期社会主義研究』誌 第29号に、「コミンテルン創立100年、研究回顧50年」という学術論文を寄稿しましたが、発売されたばかりですので、本サイトへのアップは次の機会にします。

 

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かと 2021.3.20  日本政府の緊急事態宣言は、飲食店の夜の人出を減らしただけで、感染を劇的に減らすことはできず、重症者の医療受入状況を多少改善しただけで、自粛強制効果を失い、実りなき解除です。変異株によるリバウンドは、避けられません。この日本の感染対策の無為無策の背後に、関東軍防疫給水部(731部隊)と軍馬防疫廠(100部隊)の亡霊が作用している影について、3月13日、NPO法人731部隊・細菌戦資料センタ第10回総会で、「日本のコロナ対応にみる731部隊・100部隊の影」と題する記念講演を行いました。「3つの影」を、(1)世界の感染症対策を「人間の安全保障」から「国家安全保障」の生物兵器・バイオハザード・バイオテロ問題にした、日本の戦時細菌戦・人体実験とオウム真理教、(2)国立感染症研究所・東大医科研などコロナ対策専門委員会に受け継がれた731部隊・100部隊のデータ独占・秘密主義の伝統、(3)731部隊・100部隊関係者の生き残り策としての占領期ワクチン製造と「ワクチン村」への流れ、と論じています。12月のyou tube に入っている「ゾルゲ事件」「スパイの妻」講演のyou tube映像と共に、ご覧ください。

ゾルゲ事件https://www.youtube.com/watch?v=EAclpuJ8E9I

731部隊の影https://www.youtube.com/watch?v=CwHTZOL2IOo

かと  20日夕に、また大きな宮城県沖地震・津波注意報がありました。弁護士の深草徹さんから、学術論文データベ ースに、ka「学術会議任命拒否ーー憲法の視座から見る」の寄稿がありました。河内謙策著東大闘争天王山ーー「確認書」をめぐる攻防(花伝社2020)へのka『図書新聞』2月27日号に書いた私の書評と共に、アップします。


かと2021.3.1 あれから10年だという。3月11日、東日本大震災と大津波、福島第一原発の核事故から10年である。もう10年なのか、まだ10年なのか、地域によって異なり、人それぞれだろう。それが被災体験の歴史的継承と世代交代の問題につながり、記録と記憶の乖離になり、時には科学と政治の衝突となる。2月13日夜、福島県沖を震源とする大きな地震があった。M7.3 、最大震度6強で、東京郊外の私の家でも、大きな揺れが1分近く感じた。私は実は、10年前の3.11の時は日本には居らず、メキシコでニュースで知っただけで、体感していなかった。今度の地震で家人に聞くと、10年前はこんなものではなかったという。その晩は、10年前の地震の余震で、原発は問題なし、人的・物的被害も軽微ということだった。ところが翌朝、東北新幹線など受験期の交通網で大きな被害があり、東北電力ばかりでなく、東京・神奈川・埼玉・千葉などコロナで緊急事態下の東京電力管内83万戸の停電が明らかになった。人的被害は10年前の経験が生きて死亡なしとされたが、10日以上たって、福島で一人暮らしの男性が家財道具の下敷きで亡くなっているのが発見された。ウィキペディアでは「福島県沖地震(2021年)」と立項された。

かと 問題なしとされていた福島第一原発も、危ういものだった。幸い津波は軽微だったが、福島第一・第二原発で使用済み核燃料貯蔵プールの水の一部が溢れ出ていた。東京電力は2月19日に、福島第一原発1、3号機の原子炉格納容器で水位の低下傾向がみられることを発表した。また、21日には1号機容器内の圧力が低下していることを発表した。いずれもこの地震の影響とみられるが「原子炉への注水は継続しており溶融核燃料(デブリ)の冷却などに問題はない」とした。23日になって、東電はなんと、福島第1原発3号機の原子炉建屋内に昨年設置した2基の地震計が故障していたにもかかわらず、修理などの対応を取らずに放置していたことが明るみに出た。最大震度6強を観測した13日深夜の地震の揺れのデータを記録できておらず、公表もしていなかった、と報道された。海洋放出が問題になっている汚染水タンク53基の位置が、最大で19センチずれていた。地震に耐えて「アンダーコントロール」どころか、震度も分からない「ノーコントロール」だったのである。これが、あの地球的大事故を起こした福島第一原発の、10年後の姿である。この期に及んで、10年前のメルトダウンに際して、原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」の配管が途切れた設計ミスがあったことが、ようやくスクープされた。ーーここまでは、敢えて文語体にしておきます。

かと 3.11当時の菅直人元首相は、「震災前、原発事故を想定していなかったのが間違っていた」「危機管理は最悪の場合を想定することが必要」と回顧しました。一度は脱原発に向かった政府のエネルギー政策は、自公安倍政権の復活で「電力安定供給」「エネルギー源の多様化」の名目で、原発再稼働から原発輸出策まで試み、ついには世界的な脱炭素・再生エネルギーの流れに「クリーン・エネルギー」の一部として生き残ろうと宣伝を強めています。「原子力ムラ」の完全復活です。東日本大震災の復興予算1兆円超が被災地と関係の薄い使途にも流用され、「復興庁が2013年に管轄省庁に返還を求めた23の基金事業を調べたところ、最終的に少なくとも7割に当たる約8172億円が返還されないことが明らかになった」というのが「ムラ利権」の実態でした。10年前、毎日の新聞には震災の死者・行方不明者・避難所生活者数、福島第一原発の原子炉の状況が報じられていました。この1年の新聞では、新型コロナウィルスの感染認定者数・死亡者数で、世界で1億1350万人感染・252万人死亡、日本で43万人感染確認・死亡8千人近くと報じられています。「最悪の事態の想定」は、10年前と同じく無視され、日本の場合は世界に比して極端に少ないPCR検査数のもとで、科学的な意味での感染実態もつかめないまま、後手後手の緊急事態宣言・解除の試行錯誤が続いています。

かと  この10年、特に第二次安倍内閣の8年で、国民には「自助・共助」を強いて格差を拡大しながら、国民からの税金を元手に「公助」の利権に群がる、さまざまな「ムラ」ができてきました。20世紀の族議員・関連官庁・業界の分散したムラは文教族・建設族などと残しながらも、存続しています。しかし21世紀に入って、より高度な国家プロジェクトに特化した政官財に軍事もからむ利権集団が生まれているように見えます。例えば「IT・AIムラ」は、金融から電気自動車まで、あらゆる産業・業種を横断してデジタル化が進められる国策に群がって、政府の仕事を請け負い、大手からごくごく小さなプログラム企業まで系列・下請化が進み、オリンピック・イベントからコロナ対策の感染接触ソフトcocoaシステムまで、巨大な「ムラ」を作りつつあります。同様に「宇宙・ロケットムラ」や「気候・温暖化ムラ」も、科学者世界と防衛産業を巻き込んで、産軍学共同体を作るでしょう。国家的事業が政治主導で進められ、内閣官房で予算の骨格や官僚制トップの人事まで決まるようになると、かつての族議員型ムラの再編・統合が進むようです。今度のコロナウィルス対策の中から、古くからの「感染症・ワクチンムラ」と共に、「安全保障・危機管理ムラ」ともよぶべき、個人を監視し個人情報を管理・統制・利用するシステムに寄生する利権グループが、防衛・諜報機関から大手広告産業・メディア企業を組み込んで、蠢いているようです。

かと どうやらこの10年で変わったのは、米国の衰退と中国の台頭という国際情勢、平成から令和なる国粋的元号暦を別にすると、衰退期日本の国内イシューが、原発から安保法制、オリンピックからコロナウィルスへ、政治スキャンダルのネタが、モリ・カケ・サクラから親子丼といった表面的動きのようです。変わらないのは、地球温暖化・気候変動の深化のなかで新自由主義的グローバル化がいっそう進み、権力は自民党というよりも首相官邸・官邸官僚へと集中し、国民の内部に、「公助」利権に群がる一握りの人々と、貧困化と格差拡大で「共助」も得られず「自助」のみで生きるしかない人々との、絶望的な分断が進んだことでした。菅義偉首相の「最終的には生活保護を」というコロナ困窮者に対する言葉・認識と、その内閣広報官が「電波ムラ」の関係業者から一晩7万円の接待を受けていた事実の、埋めがたい落差が、この10年の帰結です。コロナ対策の緊急事態宣言解除の報道が増えるもとで、憲法学者水島朝穂さんからのメルマガ「平和憲法メッセージ」をもらって気づき、愕然としました。「コロナ特措法32条の「緊急事態宣言」は解除されつつあるが、10年も解除されていない「もう一つの緊急事態宣言」がある。それは2011年3月11日16時36分に発出された「原子力緊急事態宣言」 である。「3.11」で3653日になるも、一度も解除されたことはないし、今後も解除される見通しはない。同じ「緊急事態宣言」なのに、なぜこちらの解除が語られないのか」と。私たちはなお、重い重い「危機管理」のもとにあるのです。

かと 「危機管理ムラ」が暴走すると、政治そのものが殺されます。ミャンマーのコロナ感染統計が、急激に減少に転じたので調べたところ、案の定、国軍クーデターのもとで病院・医療もマヒし、感染検査そのものができない状況によるものでした。日本の感染認定者数減少にも、東京オリンピック決行を至上命題とする「危機管理ムラ」の恣意が入っていないとは断言できないところが、日本の悲しい現実です。ようやく海外からワクチンが入ったものの、変異型ウィルスとリバウンドが危惧されるコロナ状況については、「デモクラシータイムズ」の児玉龍彦さん「変異型がやってきた、悪循環の出口はこっちだ」の参照を求めます。私自身は、3月13日(土)東京・浜松町のNPO法人731部隊・細菌戦資料センタ第10回総会で、「日本のコロナ対応にみる731部隊・100部隊の影」と題する記念講演を行います。昨年12月のyou tube に入っている「ゾルゲ事件」講演以来3か月ぶりの対面講演で、上述の「ムラ」利権のうち、「感染症ムラ」「ワクチンムラ」に流れた731部隊医学、100部隊獣医学、それを可能にした占領期GHQ・PHW(公衆衛生福祉局)の防疫感染症対策・ワクチン開発の事例を述べる予定です。ご出席希望の方は、しっかりと体調を管理し、できればマスクを二重にして、ご参加ください。

「スペイン風邪」の歴史に学んで、コロナ禍からの脱出口を!

2021.2.1かと今から100年前、第一次世界大戦後の世界は、感染症の世界的大流行=今でいうパンデミックの恐怖に覆われていました。いわゆる「スペイン風邪」で、当時の世界人口18億人の3人に一人近く、約5億人が感染し、5千万〜1億人が死亡したと言われます。第一次世界大戦の戦死者よりも、多くなりました。最大の犠牲国は、死者2千万近くといわれるイギリスの植民地インドでした。日本の社会科学に巨大な影響を与えたマックス・ウェーバーは、敗戦国ドイツ革命の果実であるワイマール共和国の帰趨を見ぬままに、いのちを落としました。ロシアでレーニン、トロツキーと共にボリシェヴィキ革命を率い、反革命派への「赤色テロル」で知られたヤーコフ・スヴェルドロフ全露中央執行委員会議長も、犠牲になりました。レーニンの愛人イネッサ・アルマンドの同じ頃の死は、インフルエンザより怖いコレラとされていますが。戦後の国際情勢再編に、「民族自決」など14箇条の平和主張を背景に決定的影響を与えるはずだったアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソンは、パリ講和会議の最中に罹患して、ドイツに過酷な賠償を負わせるヴェルサイユ条約が英仏主導で結ばれることを許しました。結果的にナチスの台頭と第二次世界大戦の遠因を作った、と言われました。パンデミックは、世界を変えます。

かと 当時「スペイン風邪」と呼ばれた理由は、「パンデミックが始まった1918年第一次世界大戦中であり、世界で情報が検閲されていた中でスペインは中立国であったため戦時の情報統制下になく、感染症による被害が自由に報道されていた」ため、とされています。今日ではA型インフルエンザウイルス(H1N1亜型)と推定される病源の実際の感染ルートについては、19世紀までのモンロー主義を捨てて参戦したアメリカ軍の兵士がヨーロッパにもたらし、それが最大死亡国インドなどアジア、アフリカにも広がったする説が有力ですが、未だ確証はありません。100年後の新型コロナウィルスのパンデミックが中国・武漢の人獣感染症から広がったことから遡って、「スペイン風邪」も当時のヨーロッパの中国人労働者が持ち込んだという説も復活していますが、何やらトランプの「チャイナ・ウィルス」に通じる陰謀説に近いもので、実証は困難です。ちょうどいま、WHOの調査団がようやく武漢に入りましたが、最初の感染源の学術的特定は難しいでしょう。次々と変異種が現れ、感染力も増して、すでに1億人の感染者、200万人の死亡例です。感染源の問題については、今や数十万本の医学・獣医学・薬学等の学術研究論文が現れ、ワクチンの製造・接種も始まっていますから、医学史の将来に委ねましょう。むしろ、世界的感染症対策、被害と格差の極小化を進め、ワクチンなど免疫・治療薬の国際共同開発に向かうべきでしょう。

かと 日本での「スペイン風邪」流行は、1918−19年の欧米第3波が収まっても、1920年1月にもピークがあり、21年1月まで続きました。速水融教授の名著『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ 人類とウイルスの第一次世界戦争』にもとづくと、「内地」人口の2人に一人が罹患し、作家島村抱月や大相撲の真砂石、皇族の竹田宮恒久らが死亡しました。忘れてならないのは、世界最大の犠牲がイギリス植民地インドであったように、「帝国」日本でも植民地朝鮮・台湾が「内地」より死亡率が高く、当初1918年の大相撲力士3人の死亡は、「植民地」台湾巡業中に発症し「相撲風邪」「力士風邪」と呼ばれたことです。当時「平民

宰相」原敬首相も発病し、富山の女性たちの運動から始まった「米騒動」は、「スペイン風邪」によって収束を余儀なくされました。そして対策も今日と同じで、「検疫・検査と隔離」が基本、まだワクチンはなく、治療薬も風邪薬ですから、学校閉鎖・集会禁止に「マスク、手洗い、うがい」とならざるを得ませんでした。デマや流言飛語も飛び交い、当時の対策は内務省の「流行性感冒予防心得」による治安政策と一体で、消防団など「自粛警察」風取締になりました。関東大震災の前哨戦です。すでに100年前にサンフランシスコでは「マスク条例」が作られていましたが、当時の日本の新聞では「マスク不足」が報じられ、菊池寛与謝野晶子の文藝素材になりました。死の恐怖と社会不安を孕んだパンデミックに対して、世界の感染対策はWHOなど国際機関や医学・薬学の発達もあり、100年前よりはるかに進んでいますが、どうやら日本の対策は、100年前の経験からあまり学ばず、戦時兵力・労働力のための厚生省開設や関東軍防疫給水部(731部隊)の人体実験・細菌戦などの国策遂行・閉鎖性・人種差別・精神主義の亡霊を引き摺っています。旧軍の流れでの感染研・専門家会議・分科会、感染研・地方衛生研・保健所ルートでのPCR「行政検査」抑制とデータ独占、補償なき自粛・休業要請で、その帰結として、国産ワクチンを作れないどころか、ワクチン輸入・接種さえ世界の60か国以上に先を越される、ミゼラブルなものになりました。「感染症対策小国」です。その理由と経緯は、昨年出した拙著『パンデミックの政治学ーー「日本モデル」の失敗』(花伝社)をご笑覧ください。スペイン風邪から100年の日本の公衆衛生政策は、経済発展・成長政策への従属・ 周辺化が続き、まともな検査も受けれずに自宅待機や救急輸送途中で多くの犠牲者を出す、今日のコロナ禍を産み出していると思われます。

 

2021年を「時代閉塞の現状」から理性的に脱出する年に

2021.1.15かと日本でコロナウィルス感染が見つかって1年、まもなく感染者30万人、死者5千人です。世界は感染者1億人に近づき、死者は今月中に200万人でしょう。ようやく世界ではワクチン接種が始まりましたが、日本は無為無策のまま、2度目の緊急事態宣言突入です。不安と恐怖は続きます。この事態をどう見るべきかを、東大先端研児玉龍彦さんのyou tube提言「コロナオーバーシュートに立ち向かう」で学びましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=hVtn7Br-PWw

you tubeには、私が12月に「ヒロシマ連続講座」で対面講演した「ゾルゲ事件」が入りました。その前半30分は、パンデミックと映画「スパイの妻」の話です。以下の新年メッセージを読む際に、ご笑覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=EAclpuJ8E9I


2021.1.1かと 2021年は、2020年と一続きの、人類史上の転換点になりそうです。新型コロナウィルスの「世界的大流行=パンデミック」は止まりません。ジョンズ・ホプキンス大学のデータによる年末の世界の感染認定者数は、ひと月で1900万人増えて8200万人、死者も30万人以上増えて180万人近くで、年が明けます。アメリカ1951万・死者34万、インド1024万・死者15万、ブラジル756万・死者19万、ロシア307万・死者5万に、フランス257万、イギリス238万等ヨーロッパ主要国が増勢で続きます。対策優等国といわれたドイツも170万人に。BBCの下図では、大陸別データで「オセアニアは感染報告数が少ないため除外」とありますが、すでに南極にまで到達しました。ウィルスは、各地で変異を繰り返し、特にイギリス型や南アフリカ型は感染力が強いといわれますが、東アジアで相対的に感染を抑えている「Xファクター」の正体同様、医学的には分かっていません。 未知の恐怖は続きます。

かと 大晦日の夕刻に、東京都の感染認定者1337人、全国4500人越えというニュースが、飛び込んできました。12月の感染増加の勢いと医師会や医療従事者の悲鳴に近い叫びから当然予想されたことですが、政府も東京都も、有効な対策をとれずにきました。この感染爆発は、人災です。確かに日本は、欧米に比すれば感染者数も死者数も少なく見えます。ただし、PCR検査の絶対数が桁違いに少ないですから、実態はわかりません。東アジアでは、フィリピン・インドネシアと共に劣等国で、感染源であった中国より人口は圧倒的に少ないのに感染認定者総数は上回っています。東洋経済のデータベースが、PCR検査数や年齢別陽性者数が出ていてわかりやすくなっています。未だに一日のPCR検査は全国で最大7万人程度、そこで医療崩壊寸前となっているのはなぜでしょう。その「日本モデルの失敗」の秘密は、ようやく公共放送でも取りあげるようになりましたが、もともと新自由主義をベースとする現政権の「健康・医療戦略」は、首相官邸HPにあるように、2013 年6月、アベノミクスにおいて当初掲げた「三本の矢」の一つである成長戦略 「日本再興戦略 JAPAN is BACK」(2013 年6月 14 日閣議決定)において、「戦略 市場創造プラン」のテーマの一つに『国民の「健康寿命」の延伸』か入ったことで作られた、経済成長戦略の一環です。最新2020年3月27日閣議決定改訂版でも基本方向は変わらず、すでにパンデミックが宣言され、日本でも市中感染が進んでいたにも関わらず、「コロナ対策」は内閣官房の担当としただけです。日本の感染対策は「経済と両立」どころか、一貫して経済政策に従属してきたのです。

かと 「コロナ重症患者を適切に治療するには、中核施設を認定して、集中的に資源を投下するしかない。これは現在の厚労省の施策と正反対だ。いまのやり方を押し通せば、多くの施設が疲弊し、PCR検査を抑制している現状では、院内感染の多発が避けられない。まさに現在の日本の状況だ」(東洋経済)とも、「必要な医療資源の分散により、新型コロナ患者を受け入れられる病床がいくらあったとしても、この病床というハードを生かすために必要なソフトに当たる「病院当たり」や「病床当たり」の医師や看護師などの医療資源が不足しているため、全病床のうちコロナ対策病床1.8%というような状況になっている」(ダイヤモンド)とも言われますが、根底には、感染症対策は「発展途上国」マターの儲からない問題とし、「高度先端医療」とその輸出に活路を見出そうとする政府の「健康・医療戦略」があります。その証拠に、厚労省は医療費削減を狙った「地域医療構想」の実現のために、病院の病床の数を削減すると給付金を支給する「病床削減支援給付金」の実施を全国の知事宛てで11月26日に通知しました。2021年度の予算案では、病床削減のためにさらに195億円が計上されています。2020年度の84億円の2倍以上です(リテラ)。当面の「感染症防止に配慮した医療・福祉サービス提供体制の確保に533億円(第3次補正は1兆6442億円)、PCR検査・抗原検査等の戦略的・計画的な体制構築には207億円(同1276億円)などを計上した。また、厚労省の人員体制の整備として、国立感染研究所の職員の定員を362人から716人と大幅に増員する」のは当然です。しかし新年度予算案であり、感染対策と成長政策が混在し、矛盾しているのです。正月明けにも国会を開いて、実効的な緊急医療対策を立てるべきです。

かと 映画「スパイの妻」を見ました。黒沢清監督の、ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞作です。主演の蒼井優、高橋一生の演技もさることながら、時代考証に監督の想いが感じられました。あらすじ「1940年神戸で貿易会社を営む福原優作は、満州で国家機密に関わる衝撃的な光景を目にしてしまう。正義感に駆られた優作はその事実を世界に公表しようと決意するが、スパイとして疑われることになる」とありますが、冒頭で優作の取引相手の神戸の英国人貿易商が憲兵隊に検挙されます。これは、ゾルゲ事件の研究者ならピンとくる「外諜」取締、「コックス事件」の一環です。コックス事件とは、「1940年7月27日に、日本各地で在留英国人11人が憲兵隊軍機保護法違反容疑で一斉に検挙され、7月29日にそのうちの1人でロイター通信東京支局長のM.J.コックスが東京憲兵隊の取り調べ中に憲兵司令部の建物から飛び降り、死亡した事件。同日、日本の外務省が英国人の逮捕とコックスの死亡を発表し、死因を自殺と推定した」ものです。11人の英国人検挙者の中に神戸の貿易商フレイザー・アンド・カンパニーの大阪・神戸支店長J.F.ドラモンド(Drummond)も入っていました。翌年のゾルゲ事件摘発につながる外国人ジャーナリスト監視・弾圧強化、太平洋戦争開戦時の「敵国外国人」一斉検挙、「外人を見たらスパイと思え」の戦時国民運動につながります。コロナ禍の「自粛警察」、感染者・外国人・医療従事者・エセンシャルワーカーへの理不尽な差別を想起させます。

かと 貿易商の主人公が満州・新京への出張旅行で見た「国家機密に関わる衝撃的な光景」とは何だったのでしょうか。映画の解説にも劇場用パンフレットにも一言も出てきませんが、これは731部隊・100部隊の研究者でなくても、森村誠一『悪魔の飽食』を読んだ人なら、すぐに気がつくでしょう。ハルビン郊外平房に本部をおいた関東軍防疫給水部731部隊の人体実験・細菌戦のことです。映画では女性勤務員の日記・証言とおぞましい映写フィルムを持ち帰ったことが軍機保護法違反、「スパイ」とされて主人公が検挙され拷問を受けますが、実際、石井四郎731部隊長は、人体実験を撮影した映画を満州現地や日本本土の講演等で使っていました。1940年の夏には、農安・新京でペストが発生しました。当時は自然感染とされていましたが、今日では日本側・中国側からの研究で、731部隊による人為的ペスト菌撒布の細菌戦の結果とされています。731部隊軍医金子順一が、戦後に伝染病研究所に勤務し東大の医学博士論文とした実験記録が、動かぬ証拠となりました。金子順一は、石井四郎等他の731部隊幹部と同様に、米国占領軍にデータを提供して戦犯訴追をまねがれ、武田薬品に勤務しました。この「国策」731部隊医学・医薬産業の伝統が、伝染病研究所から再編された現在の国立感染症研究所と東大医科学研究所等に受け継がれ、昨年来の新型コロナウィルス対策でも、政府の「専門家会議」「分科会」を通じた感染データ独占、「国策」オリンピックや「健康・医療戦略」を忖度した政府・厚労省への「助言」、治療薬・ワクチン政策等に連なっているのではないか、というのが昨年公刊した拙著『パンデミックの政治学ーー「日本モデル」の失敗』(花伝社)の問題提起です。

かと 私の見るところ、黒沢清監督の映画「スパイの妻」は、故黒澤明監督作品の中では、ヴェネツィア国際映画祭受賞作「羅生門」や「七人の侍」よりも、1946年の作品「わが青春に悔いなし」を想起させます。「スパイの妻」の描いた1940年は「紀元2600年」で、日独伊枢軸で世界から孤立し、「神武天皇建国祭」に合わせて計画され決まっていた「東京オリンピック」も「万国博覧会」も中止に追い込まれた、日中戦争泥沼化と日米開戦前夜でした。その時代に、日本の科学技術は、「戦時体制」の名で「国策」への「奉公」を強いられました。医学・獣医学・薬学・理学等は「大東亜医学」「最終兵器」の名で国際法違反の生物化学兵器製造に向かい、中国人・ロシア人・朝鮮人等の「抗日分子=マルタ」を細菌戦・毒ガス戦のための人体実験に使いました。法学・政治学・経済学・教育学等は、共産主義・マルクス主義を「黴菌」「ウィルス」と見なして撲滅を図り、戦時体制構築・外来思想排撃の思想・情報統制に支配されました。治安維持法改悪ばかりでなく、軍機保護法・国防保安法などで神がかりの「日本法理」を作り、自由主義や神道以外の宗教も取締と弾圧の対象にしました。そんな時代への足音が、安倍内閣の下で教育基本法改悪から特定秘密保護法・新安保法・組織犯罪処罰法、国家安全保障会議(NSC)・内閣人事局設置、集団的自衛権と日米防衛体制強化と聞こえてきて、菅内閣の新型コロナ対策と東京オリンピック強行のために、いっそう強まっています。日本学術会議の会員任命拒否は、官僚制掌握とメディア支配を前提にしての、新たな第一歩でした。再び国際的孤立と国民的「自粛」のなかで、「いつか来た道」を繰り返してはなりません。2021年を、「時代閉塞の現状」を「冷徹に考え」、理性的に脱出口を見出す年にしたいものです。