ネチズン・カレッジ日誌にようこそ!

ある政治学者のホームページ奮戦記――わが家のできるまで、できてから(2018年1月ー

 ここには、<What's New>で定期的にトップに現れた、本ホームページの作成過程、試行版への反響、更新の苦労話、メールへのご返事、ちょっといい話、外国旅行記・滞在記、研究室からカレッジへの改装の記録が、日誌風につづられます。趣味的なリンクガイドも兼ねます。ま、くつろぎのエッセイ集であり、対話のページであり、独白録です。日付けは下の方が古いので、逆読みしてください。

古い記録は、「図書館特別室3 ネチズン・カレッジ生成記録」として、以下のようになっています。お好きなところへどうぞ。

「令和」の元号はいらない、米軍基地もオスプレイもいらない!

2019.4.1かと  4月1日は、世界的にはエイプリルフールです。由来については各国に諸説がありますが、現代日本にふさわしいのは、最も有力な、16世紀フランス起源説でしょう。曰く、<昔々、ヨーロッパの新年は3月25日で、4月1日まで春の祭りをしていました。しかし、1564フランスの絶対君主シャルル9世1月1日を新年にします。それに怒った民衆は、4月1日に「嘘の新年」とし、ばか騒ぎを始めました。この反発に納得いかないシャルル9世は、町で嘘の新年を祝っていた人々を逮捕し処刑してしまいました。この事件にショックを受けたフランス国民は、この事を忘れない為と、フランス王への抗議として、その後も毎年4月1日に「嘘の新年」として祝うようになったのが、エイプリルフールの始まりだと言われています>ーーこれも世界に溢れる偽情報・フェイクニュースとされかねませんから、今回の更新は、明日2日零時過ぎに行います。

かと  新元号は「令和」でしたーー漢字ペディアで見ても、「」の意味は、@いいつける。命じる。いいつけ。「令状」「命令」、 Aのり。きまり。おきて。「訓令」「法令」、 Bおさ。長官。「県令」、です。 Cよい。りっぱな。「令色」「令名」、はその後です。君主や政府の「命令」「訓令」で時間が仕切られ、「」が演出されるのは、まっぴらです。強固な支持基盤の日本会議系右翼・ナショナリストへの弁明として、中国の漢籍からではなく、日本の古典「万葉集」が出典に選ばれました。もっともそれにも、漢籍の典拠・タネ本がありました。他の候補名、「令和」起案者も、1日でほぼ特定されました。時の権力者の「安」「晋」が入らなかったことだけが、マスコミ「元号フィーバー」のなかでの、ささやかな救いでした。

かと もともと4月は、4年に一度の統一地方選挙が決まっていました。7月には参院選があります。しかし国会での政府による基本統計や公文書の改竄疑惑は、なぜかあわだだしい予算審議で、うやむやにされました。沖縄では、県民投票の民意が全く無視され、軟弱地盤の米軍辺野古基地埋め立てが続けられています。絶滅寸前のジュゴンの死骸が見つかりました。4月は沖縄では1945年沖縄戦を想起する季節です。今朝の東京新聞スクープは、防衛省が宮古島住民を欺して弾薬庫を作った設計図偽造でした。「令和」騒動の最中に、あの悪名高い米軍機オスプレイが、伊丹空港に緊急着陸です。例(令!)によって「原因については申し上げられない」です。ましてや海外では、イギリスのBrexitが目前に迫り、アメリカでは気まぐれトランプが中東の火薬庫ゴラン高原のイスラエル主権を認めて国連決議違反の暴挙、米中・米朝関係も波乱含みですが、日本の出番はなし。日韓関係は更に深刻で、ヘイトスピーチの厚生省官僚が韓国の空港で泥酔トラブルで現行犯逮捕される始末。4月−7月の「選挙の季節」に向けて用意した外交の目玉、ロシアとの領土交渉は暗礁にのりあげ、北朝鮮との拉致問題交渉も遠のくばかり。そして、最も深刻なのは、内閣支持率維持の生命線である「アベノミクス」の化けの皮が次々に剥がれて、実質賃金低下ばかりでなく、景気後退も深刻で、消費税増税が政治的ギャンブルになりそうな様相。その四面楚歌のなかで、政権維持のためのイベントに使われているのが、この象徴天皇制代替わり・改元騒動であるように思われてなりません。5月の10連休から11月の神道儀式「大嘗祭」まで、広い意味での天皇制の政治利用が続きます。キリスト教団体が安倍首相に憲法違反の疑義を申し立て、抗議したのは当然です。

かと それにしても、この間のマスコミの新元号フィーバー、特に公共放送NHKのプロパガンダ・官邸迎合は異様です。夜9時のニュースを安倍首相がハイジャックし、オスプレイ不時着は、ついに報じられませんでした。一方で中高年「引きこもり」失業者61万人が放置されたまま、今日から外国人単純労働者35万人の受入が始まりました。準備も受入環境づくりも全く不十分です。簡単に報じられたが、すぐに忘れられたニュース。3月20日に発表された国連の「世界幸福度ランキング」。世界の156カ国中、日本は58位でした。無論、軒並み上位の北欧諸国ばかりでなく、先進資本主義国では最下位、コソボ、ルーマニアよりも下位で、ジャマイカ、ホンジュラス、カザフスタン並みです。2018年の54位から4つ順位を下げ、アジアでは25位台湾、34位シンガポール、52位タイ、54位韓国にも追いぬかれました。さらに深刻なのは、不透明な世界経済のなかでの「ジャパン・リスク」。これも「令和」の狂騒にかき消されましたが、4月1日の日銀短観は6年3か月ぶりの大幅な景況悪化。「アベノミクスの失敗」ばかりでなく、福島原発事故の81兆円コスト巨大地震被害見積もり100兆円が世界の投資家に知られて、100兆円予算の効果が国債暴落で帳消しになる悪夢。「ファシズムの初期症候」は、深刻化しています。これは、エイプリルフールではありません。「主権者たる国民」の選択が問われています。

かと 4月18日(土)に東京神田・如水会館で新三木会講演会日本の社会主義ーー戦前日本の思想・運動と群像」、4月27日(土)早稲田大学戸山キャンパスで桑野塾731部隊と戦後日本ーー民族優生思想から『不幸な子供を産まない運動』へ」、5月3日(金)岐阜市長良川国際会議場で「731部隊と戦後日本ーー東アジアの平和のために」を、それぞれ公開で講演します。後2者は you tube に入っている「731部隊と旧優生保護法強制不妊手術を結ぶ優生思想」と関連するものですので、ご関心の向きはどうぞ。

元号はいらない、「平成生れ」が「大正生れ」 の悲劇を繰り返さないように!

2019.3.15かと  1 月の運転免許書き換えに続いて、今日締切の確定申告で、またまた憂鬱な体験。マイナンバーカードなど持ち合わせていないのですが、ナンバーのコピーを付けないと受理されないとのことです。ほとんど使ったことのないマイナンバー通知なるものをコピーしたら、これも運転免許と同じく西暦年号なし、元号のみの表記です。運転免許証は西暦併記に決まったそうですが、「国民の義務」なる納税書式は、来年から新元号で出さなくてはならないようです。「象徴天皇」と「新元号」の話題が、東京オリンピックと共に、3.11震災・原発事故8周年を押しのけた、メディア・ジャックです。「新元号」に「安」の字が入るかどうか、中国の漢籍ではなく日本の古典文学や記紀神話の世界が入るかどうかの喧噪、興ざめです。そもそも天皇制の時間支配にすぎない元号を残す必要があるのか、いや空間支配でもある「ナショナリズムの仕切り」を、なぜ公的に強制するのか、改めて、天皇個人の言行や人格ではなく、国家制度としての象徴天皇制の意味を、考えるべき時です。「法の支配」は、時の権力の定義・解釈と運用次第で、「人の支配」になりうるのですから。

かと 象徴天皇制自体が、占領支配をスムーズに進めるための米国の発案で、戦争・戦力放棄の第9条とひき換えに、日本国憲法に刺さった棘です。日本国憲法制定時には、初めて許された言論・出版・思想・表現の自由のもとで、メディアも活性化し百家争鳴でした。占領軍のプレス・コードで原爆や占領政策・連合国批判は検閲されましたが、天皇制や旧軍批判は相対的に自由でした。日本側には、君主主権の神権天皇制絶対護持論から共産党の天皇制廃止論の間に、それなりの言説空間があり、昭和天皇退位・譲位論もあれば、尾崎行雄のような「人心一新のための改元」論もありました。そして、占領軍GHQの絶対的権力のもとで認められたのが、「象徴」としての天皇制維持、天皇の「人間宣言」でした。今日、安倍晋三をはじめ新元号制定権を持つ改憲勢力は、「押しつけ憲法」をいいながら、9条改訂・集団的自衛権明記とともに、大日本帝国時代に戻る「元首」復活を目標としています。政治制度としての利用価値を高めるためです。「押しつけ」られたのは、憲法第9条ではなく、第1条の象徴天皇制でした。

かと 改憲勢力は、対米依存のもとでの「民族」「伝統文化」の最後の砦として、天皇制を死守どころか強化しようとしています。グローバリズムのもとで、外交的にも経済的にも「トランプのポチ」としてしか評価されていないのに、むしろそれを奇貨として、もともと中国起源なのに元号が残された「世界唯一の元号国」として、「ジャパン・ファースト」の文化的シンボルにしようとしています。国内では元号でしか公文書に表現できないイージス・アショア予算が、米国から購入する契約時には西暦で公文書になる、二枚舌です。「平成生れ」で安倍首相の「強いリーダーシップ」を支持している若い皆さんに、苦い歴史的教訓を一つ。「平成には戦争がなかった」などと、浮かれている時ではありません。大正生れの歌」を探索してわかった「大正生れ」世代の共通のアイデンティティとは、「アジア・太平洋戦争の最大の犠牲者」「同級生・戦友を失った世代」でした。なぜならば、次の年号「昭和」で戦争が始まった時、ちょうど10代後半から30代で徴兵制で最前線に送られる最大の犠牲者世代=コホートになったのが、「大正生れでした。核保有徴兵制さえタブーでなくなった21世紀の日本で、「新元号」キャンペーン・便乗ビジネスに乗り、「大正生れの歌」の悪夢を繰り返してはなりません。若い皆さん自身の問題です。

かと 日本国憲法全体は護るべきとして、不本意ながら象徴天皇制の存在は認める場合でも、時の権力による政治的利用には、敏感で厳格であるべきです。「そもそも政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法法令及び詔勅を排除する」「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」ーー前文を素直に読めば、日本国憲法の全体は、国民主権と基本的人権の普遍主義で貫かれています。だからそれに原理的に矛盾する、特殊な象徴天皇制も、第1条「天皇は、日本の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」、第3条「天皇の事に関するすべての行為には、内閣の助言承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」と厳しく規定されています。第4条「天皇は、この憲法の定める事に関する行為のみを行ひ、政に関する権能を有しない」と、「国事行為」の内容も第7条で限定されています。平成天皇の被災地慰問も、自らの意志による退位表明も、厳密には「法の支配」からの逸脱になり、時の内閣の政治利用と、それに便乗したビジネスを許すことになります。かつての「昭和」から「平成」への代替わり時以上に、「新元号」は、政治的にも経済的にも、すでに利用されています。

かと 新元号に「安」を入れたり、官房長官ではなくファシスト安倍首相自らが国民に発表する政治的利用にも要注意ですが、安倍官邸による権力一元化=独裁は、まだ完成したものではありません。いくら本人が「森羅万象全てを担当」「私が国家です」「立法府の長」とフェイクに自称しても、国家の権力分立制度が機能すれば、ブレーキがかかります。たとえば「立法府の長」発言に、野党議員が質問し、答弁させることができます。「アベノミクスによる戦後最大の景気拡大」を前提とする消費増税は、基礎となる統計数字が賃金でも家計消費でもGDPでも揺らいできて、庶民の実感を顧慮せざるを得なくなってきました。今日のニュースで言えば、旧優生保護法のもとでの強制不妊手術の犠牲者を救済する法案が、立法府=国会の与野党合意でまとめられる方向が確認されました。「反省とおわび」が国家でなく「われわれ」とぼかされ、被害者自身の声が届かず、損害賠償が少額の一時金にとどまるにしても、「朕が国家なり」への風穴です。ただし、私が解明しつつある、細菌戦・人体実験の元731部隊軍医・長友浪男が戦後厚生省に潜り込み、強制不妊手術実行の全国的運用責任者であった問題や、「らい予防法」や「北海道旧土人保護法」と同様の20世紀優生思想の産物であった問題等は、手つかずです。

かと 司法部=裁判所でも、森友学園問題での政府の資料隠蔽、福島原発事故での千葉県避難者の損害賠償訴訟では、ごく一部の地裁レベルではあっても、原告の主張を認める判決がでています。つまり、「森羅万象」の森には風が抜ける風穴はあるのです。ましてや象徴天皇や元号で仕切られた時間・空間は、その「仕切り」の外の外国=「横からの圧力」に弱いのが特徴です。中国・韓国・ロシア・ヨーロッパで「新元号」が歓迎されることはありえません。安倍晋三の宗主国アメリカでさえ、「代替わり」など無視して、FTA圧力をかけてくるでしょう。トランプの「アメリカン・ファースト」のもとで、従僕安倍晋三のノーベル平和賞トランプ推薦7つの日本企業大工場の米国移転の約束の秘密が、トランプ自身の口から暴かれてきたことは、「ジャパン・ファースト」の無力を示しています。旧皇室関係者をトップに据えた東京オリンピックは、「象徴」の招致汚職疑惑が浮上して、国際的イメージを下げました。「新元号」に浮かれている時ではありません。まずは、沖縄県民の民意を受けて、辺野古基地の非正義・不合理を米国に訴え撤回させることこそが、「主権者国民」とその政府のなすべきことです。「安」の字の入った国内公文書用「新元号」決定が、次回更新日4月1日の「エープリル・フール」であることを願います。

侵略国だった日本の、東アジアへの「向き合い」方

2019.3.1かと  一回パスして、ひと月ぶりの更新です。国内では、基本統計改竄の仕組みが次々に明るみに出ても、安倍首相は、官僚の責任にして涼しい顔。沖縄の辺野古基地についての民意が、これ以上ないかたちで県民投票で表明されたのに、政府は投票当日も翌日も工事続行。この国は、もはや民主国家ではありません。外交では、四面楚歌です。北朝鮮問題では長く蚊帳の外、ロシアとの「北方領土」交渉は完全に手詰まり状態、中国からは声がかからず、アメリカから次々に高額武器を買ってもFTA 交渉では更に貢ぎ物を出さなければならない忠犬ポチの悲哀。そして、今日三・一独立運動100周年を迎えた韓国との間は最悪です。この国は、グローバルな海を、漂流しています。その責任は明確です。舵取りは「森羅万象すべてを担当」と公言する独裁者、安倍晋三です。改めて、昨年たびたび本サイトで掲げてきた、「ファシズムの初期症状」の進行度を確認しておきましょう。

かと 3月1日です。日本ではビキニデーです。65年前のこの日、アメリカの水爆実験による「死の灰」により、静岡のマグロ漁船第5福竜丸が被曝しました。後に無線長・久保山愛吉さんが亡くなり、また第5福竜丸以外にも700隻以上の漁船が操業していて、実験場近くのロンゲラップ島民は人体実験の標本とされました。被曝者2万人と見積もられています。久保山さんの辞世の言葉は、「原水爆の犠牲者は、わたしを最後にしてほしい」でした。ところが当時の新聞を調べると、1954年の3月は、前年末の米国アイゼンハワー大統領の国連演説「Atoms for Peace(原子力を平和のために)」を受けて、日本の国会に中曽根康弘が「原子力予算」を提出して採択、正力松太郎と共に原子力発電を開始する時期でした。新聞報道では「原子力を平和に、モルモットにはなりたくない」と、むしろ「原子力の平和利用」という名の原爆反対・原発推進の方向に踏み出す第一歩となりました。米国政府は賠償には応ぜず、日本政府への200万ドルの「好意の見舞金」で決着しました。それが、2011年の3.11フクシマ原発事故への出発点でした。在日米国人詩人アーサー・ビナードさん言葉「『久保山さんのことを わすれない』と ひとびとは いった。けれど わすれるのを じっと まっている ひとたちもいる」ーーその現代日本の代表が安倍晋三であることは、まちがいありません。

かと 3月1日は、朝鮮半島の人々にとって、現代史の出発点ともいうべき三・一独立運動・万歳事件の100周年記念日です。日本の植民地支配からの解放を求め、ソウルのパゴダ公園に集った宗教者等33人が「吾らはここに、我が朝鮮が独立国であり朝鮮人が自由民である事を宣言する。これを以て世界万邦に告げ人類平等の大義を克明にし、これを以て子孫万代に告げ民族自存の正当な権利を永久に所有せしむる」という「独立宣言」を起草し、万歳三唱をしました。支持するデモは全朝鮮にひろがり、1542回、205万人が参加したと言います。「死者7509名、負傷者1万5849名、逮捕された者4万6303名、焼かれた家屋715戸、焼かれた教会47、焼かれた学校2」という韓国側記録もありますが、朝鮮総督府警察・軍隊の弾圧で、日本側司法記録でも、1万2668名逮捕・3967人有罪でした。日本本土に留学や求職で滞在していた多くの朝鮮人も、加わっていました。この時の経験を踏まえて、日本では1925年「治安維持法」に「国体変革・私有財産否定」の運動参加と共に「結社の目的遂行のためにする行為」の罪が書き込まれました。治安維持法は、もともと共産党取締りのはずだったのに、朝鮮独立運動にもこの「目的遂行罪」が適用されました。1925-45年の検挙記録をビッグデータにして分析すると、1928-33年の共産党弾圧時でも共産党員はわずか3.4% 、それも80%が「転向」します。20年間の検挙者は、日本人6万8332人ですが、労働運動・農民運動・文化運動から戦争に反対する自由主義者・宗教者、読書会・同人雑誌にまで「目的遂行罪」が拡大適用されました。しかも「目的遂行罪」は、植民地の独立運動・宗教運動にも適用され、朝鮮人2万6543人など3万3322人が検挙されました。本土・植民地の総計は10万1654人で、日本人被告には死刑が適用されませんでしたが、朝鮮では59人が死刑になりました。昨年夏のNHK/ETV特集自由はこうして奪われたーー治安維持法10万人の記録」が、ようやくビッグデータから割り出した歴史の実態です。

かと こうした植民地時代の経験が、伝統として受け継がれ、今日韓国での従軍慰安婦問題、徴用工問題、象徴天皇制日本への態度にもつながるのですが、日本でのメディア報道は、もっぱら「韓国の反日」の文脈で、3.1独立運動100周年を見ようとします。書店やウェブ上では、反韓・嫌韓のヘイト言説が溢れています。国際的孤立のなかで、とりわけ東アジアの平和のアクターに加わるには、何よりも、20世紀日本の植民地支配、経済侵略の反省が必要なのですが、安倍政権は、1965年日韓条約の5億ドル援助で決着済みという態度で、侵略された側の歴史の記憶、民衆の歴史観に、眼が届きません。ちょうど、ビキニ水爆被曝に対する米国の「見舞金」の屈辱に対して、日本政府はともかく、日本の民衆が原水爆禁止運動を始めた歴史など、忘れてしまったようです。トランプ米国大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長の第2回会談は、最終合意にいたりませんでしたが、安倍首相は、歓迎のようです。「親分」トランプに「次は私が向き合う」と伝えたそうです。ところが、米朝の対立は、核廃棄問題です。安倍首相は、トランプが米朝会談で日本の拉致問題をとりあげてくれたと浮かれていますが、北朝鮮にしてみれば、大国が自国本位で核兵器を独占し、宇宙軍まで創設しようという動きに、20世紀の歴史を重ね合わせているのでしょう。米国に追従するだけの日本に対しては、米朝会談当日『労働新聞』に、「日本は謝罪と賠償だけしていろ」と挑発してきました。北朝鮮との間では、まだ植民地支配の問題を、まともに議論したことさえないのです。自国の歴史を知らず、足元の民意さえ汲めない安倍晋三が、トランプの米国と経済力のみを頼りに「向き合う」ことで、東アジア民衆との間の溝を、更に広げることになるのではと危惧します。私自身の20世紀歴史認識は、昨年上梓した『731部隊と戦後日本』(花伝社)の延長上で、元731部隊軍医少佐であった長友浪男が、軍歴を隠して旧優生保護法強制不妊手術を担当する厚生省高官になり、北海道副知事に上り詰める問題等を引き続き探求し、民衆レベルの対話に、参加していきます。

「大国」意識を捨てて、身の丈の国と生活を!

 

2019.2.1(FTP不良で3日にアップ)かと  厚生労働省の「毎月勤労統計調査」に続いて、「賃金構造基本統計」にも不正が見つかりました。国の現況を統計的にあらわす「基幹統計」56の内、四割の23統計が法令通りに調査されていなかった、とわかりました。例えば、「国土交通省の「建設工事統計」では、1事業者が施工高などを「百万円単位」で書くべきところ、「万円単位で記入したため、公表した全体の値が実態よりも大きかった」、新たに判明した「小売物価統計調査」では、大阪府の調査員が実際の調査をせず過去データを提出していた、という具合ですから、お話になりません。「毎月勤労統計調査」や「賃金構造基本統計」は、別に経済学者・統計学者でなくても、労働時間や賃金格差など社会労働問題を扱うさいには、誰でもベーシックなデータとするものです。景気・投資動向や国際比較の分析でも、欠かせないものです。そうした分析や議論の土台となる数字がいい加減で、「アベノミクスの成功」や「3%賃上げ」の根拠が、土台から揺らいでいます。それが安倍首相の時局発言を「忖度」したものであったかどうかはともあれ、問題を隠蔽し、秘かに内部で処理しようとし、あまつさえ過去の基本データを紛失したとする厚生労働省及び安倍政権の対応は、大問題です。統計法違反として、立件すべきです。この虚偽データが、消費増税や「働き方改革」のもととなり、国連やOECD・ILOなどの国際機関に送られていました。恥ずかしいことです。それを承知しながら、また右の東京新聞記事の言う公文書・データ改竄の数々を重ねていながら、安倍晋三首相は、1月23日のダボス会議で、世界の政財界エリートを前に「世界的なデータ・ガバナンス」の必要、国際的なデジタルデータの流通ルール策定を提唱」したのですから、厚顔無恥もきわまれりです。

かと  統計数字が正しいとしても、その解釈・意味づけは、さまざまです。国会で「毎月勤労統計調査」で「実質賃金のマイナス」が問題にされているのは、いくら公共放送が「景気回復」を繰り返しても、安倍内閣のいう「戦後最長の好景気」が庶民には実感できずその恩恵を得ているのは、一握りの大企業と個人に限られているからです。世界的なグローバル経済の効果では、より問題が鮮明になります。国際NGO「オックスファム」は、2018年の報告書で、世界で1年間に生み出された富(保有資産の増加分)のうち82%を世界で最も豊かな上位1%が独占し、経済的に恵まれない下から半分(37億人)は財産が増えなかった、といいます。その2019年版が、ダボス会議に向けて1月に発表され、「世界のお金持ち上位26人が、世界のボトム・ハーフ(貧しい半数)の38億人と同じ額の資産を保有している」とされました。「昨年1年間でボトム・ハーフの資産は11%も縮小する一方で、ビリオネアの資産は12%も拡大。1日に25億ドルずつ増えていた」「十分な医療を受けられないため、推定約1万人が毎日亡くなっています。貧しい国々では貧困家庭の子供は裕福な家庭の子供より5歳までに死ぬ割合が平均で倍近く高い」「両親が学費や制服、教科書代を負担できないことなどを理由に、学校に行けない子供は2億6200万人。貧富の格差は教育格差も広げていきます。世界トップ1%のお金持ちが資産の0.5%に相当する税金を納めれば年4180億ドルが集まります。これを元手に学校に行けない子供たちを救い、医療サービスの提供で330万人の死を防ぐことができる」等々、具体的な現実が見えてきます。かつてマイクロソフトのビル・ゲイツは、マクロデータから「世界から貧困が減っている」と述べたのに対して、ロンドン大学のジェイソン・ヒッカー博士は、典拠となった同じデータを読み替えました。「貧困ライン」の線引きの仕方で、同じ数字の意味が異なってきます。「貧困」や「格差」の評価では、統計数字の信頼性と共に、賃金・所得・資産と性別・人種民族・学歴・居住地域等をクロスした現実生活の実態こそが、問題にさるべきです。

かと この点からすると、「日本が大国である」という前提そのものを、疑ってかかった方がいいでしょう。国際統計で日本の名目GDPが、1位アメリカ、2位の中国にどんどん引き離されながらも、なお世界3位だというのは、その通りでしょう。しかし一人あたりにすると、名目でもOECDで20位(2017年)、最新IMF統計では25位、購買力平価の実質では30位(2018年10月)です。ちなみに、サッカー・アジアカップの優勝国カタールは、一人あたり名目GDPで日本の1.5倍、アメリカ以上の7位購買力平価なら世界一です。どちらが「ハングリー」かは、AI風の世界の眼からは明らかです。公的教育費の対GDP比較では、ユネスコ統計(2017年)で114番目です。経済的参加度に経済機会、教育達成度、健康と生存、政治的エンパワーメントを加味したダボス会議(世界経済フォーラム)の「男女平等(ジェンダーギャップ)ランキング」でも、114位です。「アベノミクス」の肝である経済成長率で言えば、統計偽造でかさ上げの可能性がありますが、2017年は世界147位アジア25ヵ国中では下から3番目の23位です。少子高齢化がありますから、大きな躍進はありえません。衰退と格差拡大が続きます。発展「途上国」ではありませんが、落日の「衰退国」です。21世紀世界におけるこの客観的位置と、国内の階級・階層構造を前提にした将来像こそが、求められます。かつて日本がGDP第2位、一人あたりでもアメリカを凌駕したバブル経済の時代でさえ、日本は、世界から「経済一流、政治は三流」と揶揄されました。「政治は三流だが、官僚は一流」といわれた時代もありました。その頃、日本の外務省に招かれたアメリカのジョン・ダワー教授は、近隣アジアに「友人を作れなかった経済大国」の中味を、「5つの欠如」としてあげました。@喜びの欠如した富、A真の自由の欠如した平等社会、B創造性の欠如した教育、C真の家庭生活の欠如した家族主義、Dリーダーシップの欠如した超大国、と特徴づけました。私のブックレット戦後意識の変貌』(1989年)末尾に入っています(J・ダワー「日米関係における恐怖と偏見」『昭和』みすず書房、2010所収)。それから30年、@は富そのものの摩耗で貧困と格差に、Aは集団主義的企業社会や年功賃金を言っていたのですが、日本的経営も過去のものとなって、非正規労働が蔓延する自由も平等も欠如した社会に。Bのつめこみ教育は変わりませんが、いじめや貧困児童の増大で、教育そのものの危機に、Cは家庭も持てない若者の増大、Dはアメリカ・トランプ政権に頼るだけでいっそう衰退し、いまや国際社会から孤立する「外交五流国」です。核廃絶にも、米中ソ関係にも、能動的影響力を持てないのです。

かと  そうした現実を認めることができない、ノスタルジアの「大国」意識が、安倍内閣を支えています。いまや「官僚も三流」で、官邸ファシスト政権に権力が集中し、景気回復・「大国」再来を夢見る狭隘なナショナリズム、反中・嫌韓排外主義が蔓延しています。冷戦終焉・バブル崩壊の時代よりも深刻な、2世・3世政治家が跋扈する、「経済も政治も三流」の国です。かつて石橋湛山の唱えた戦前「小日本主義」、戦後の竹内好の「アジア主義」、30年前で言えば「河野談話」「村山談話」のような、身の丈に合わせた謙虚な国に、立ち戻ることはできないのでしょうか。私個人は、2018年春に上梓した『731部隊と戦後日本』(花伝社)の延長上で、元731部隊軍医少佐であった長友浪男が、軍歴を隠して旧優生保護法強制不妊手術を担当する厚生省高官になり、北海道副知事に上り詰める問題等を具体的に探求していきますが、若い「想像力」「洞察力」と「創造力」を持った「有機的知識人」(グラムシサイード)の出現を、期待します。昨年11月八王子12月東大での731部隊講演は、どちらもyou tubeに収録されています。30年前の戦後意識の変貌』、昨年末にウェブ公開が解禁になった、中部大学年報『アリーナ』誌第20号(2017年11月)に発表された長大論文「米国共産党日本人部研究序説」(藤井一行教授追悼寄稿)を、そのきっかけとなった、インタビュー「エピローグとなった『序説』への研究序説ーー『スターリン問題研究序説』と70年代後期の思潮」(中部大学年報『アリーナ』第16号、2013)とともに、歴史の記憶と記録として、残しておきます。FTP不良で、更新は3日になりました。2月は体調と執筆の遅れを回復したいので、次回更新は3月1日とさせていただきます。

 

安倍内閣「真理省」が日本を壊している!

 

2019.1.15かと この国は、壊れている。いや、壊されつつある、というのが、2019年に入って2週間の印象です。私たちの生活は、政府の作成する公的統計資料と、それにもとづく施策を国民に示す公文書のうえに成り立っています。そのうち国勢調査等とならぶ「基幹統計」の一部である厚生労働省の「毎月勤労統計調査」が、なんと、データが改竄されていました。「毎月勤労統計」は、500人以上の規模の事業所は全数調査を行うことになっていますが、1996年から4半世紀にわたって恣意的に扱われてきました。2004年以降、東京都だけ全数ではなく、3分の1程度の抽出調査を行っていました。昨2018年は全1464事業所のうち、491事業所だけの調査でした。11日の国民民主党のヒアリングで、厚労省の屋敷次郎参事官は「東京で500人以上の会社は賃金が高い。そこの3分の2が抜けると、全体の賃金は押し下げられるのです」と説明しました。金額ベースで、平均0.6%引き下げられたと認めています。これは、賃金が実態より低く出て、雇用保険労災保険の算定基礎になり、本来支払われるべき額が低くなることを意味します。@失業給付など雇用保険で約280億円(延べ1900万人)、A年金給付と休業補償の労災保険で約241億5000万円(同72万人)、B船員保険で約16億円(同1万人)、C事業主向けの雇用調整助成金で約30億円(延べ30万事業所)が過少に見積もられ、延べ1973万人・30万事業所で総額は約567億5000万円といいます。経済分析や景気動向指数も、歪められます。そのうえ、アベノミクスの失敗を覆い隠し、「働き方改革」を進めるためか、意図的操作も行われてきました。安倍首相は2014年春闘から企業に賃上げを求めてきましたが、思ったように上がりませんでした。シビレを切らした安倍首相は、2018年春闘に向けて、初めて「3%」という具体的な数値目標まで口にしました。これを「忖度」してか、厚労省は、「基幹統計」を操作して、抽出した調査結果を全数検査に近づけるための統計処理をしました。3分の1の抽出調査結果を3倍にし、計算上、賃金額はアップするようにしたのです。GDPや国際賃金比較など国際統計の基礎にも使われていますから、日本の統計全体の信頼性を、著しく損ねるものになります。

かと 賃金についてのみではありません。労働時間についても、「毎月勤労統計調査」は、最もよく使われる「基幹統計」でした。例えば先の国会で大きな争点となり、今また医療従事者の労働時間規制の焦点になっている「過労死」を考える前提が、「毎月勤労統計調査」でした。もともと「毎月勤労統計調査」自体、労働現場の実態把握としては、問題の多い統計でした。昨年なくなった森岡孝二さんの表現を借りれば、賃金および労働時間の基幹統計である「毎月勤労統計調査」には「二つの不備」があります。第一に,同調査は事業者側の申告によるもので,事業所の賃金台帳に記載された賃金の支払われた労働時間を集計し ていて,男性の正社員に多い長時間の賃金不払残業(サービス残業)を把握していない。第二に, 同調査の月次データは,調査の目的である賃金,労働時間および雇用の変動の把握に関して不可欠 な、数字の性別による集計を欠いている。 そのため森岡さんは、早出や居残りを含め労働者が゛実際に就業した時間を世帯毎で集計した総務省「労働力調査」の就業時間統計 を用い、女性労働者やパートタイム労働者、何よりも「サービス残業」を含む実態を把握しようとしました。私自身、かつて「過労死とサービス残業の政治経済学」という英語・フランス語・ドイツ語・中国語・韓国語に訳された1994年の論文で、「サービス残業の統計学」という一章を設け、(当時は労働省)「毎月勤労統計調査」と総務庁「労働力調査」を比較し、その差の年間約350時間が、サービス残業にあたると論じました。しかし当時も現在も、日本政府の公式労働時間統計は、サービス残業は反映されない「基幹統計」である「毎月勤労統計調査」で、それがそのまま国際比較でも用いられていました。

かと それでもまさか、統計の基礎数字と集計には改竄はないだろうと思っていたのですが、21世紀の「毎月勤労統計」は、そもそも本来の調査対象を都内大企業の3分の1に減らし、いっそう実態との乖離を拡大していたというのですから、話になりません。一民間企業内の有価証券報告書虚偽記載や特別背任より、はるかに重大な、公的犯罪です。安倍首相に媚びて「賃上げ」を演出したとすれば、ジョージ・オーウェル『1984』の真理省さながらです。しかも問題は、「毎月勤労統計」に留まらないことです。古くは旧社会保険庁の「消えた年金」がありました。安倍内閣のもとで、モリカケ問題など公文書の隠蔽ばかりでなく改竄まで行われたこと、しかもその責任者である財務大臣はじめ官僚たちはだれも責任をとらず、首相官邸の差配でか「栄転」や「天下り」を繰り返しています。現代日本の「真理省」は、全官僚の人事権を握った首相官邸です。新年の更新でかかげたGDP国際統計も、一人あたり名目GDP各国ランキングも、どうも統計の信憑性から疑ってかかる必要が出てきました。それらに比べれば、橋本健二さん作成の「日本の階級社会」の構成図は、その所得額や厳密な構成比は別として、現実の縮図としての意味を持っているでしょう。安倍官邸=「真理省」にとっては、森岡孝二さんや橋本健二さんのような、政府統計を組みかえて女性差別や格差社会の実態に迫る研究が、目の上のたんこぶだったのです。安倍官邸=「真理省」の情報操作と改竄は、内政ばかりでなく、外交にも及びます。オーウェル『1984』には、 調査局や記録局を持ちプロパガンダを担当する真理省のほかに、War is Peace を公言する「平和省」があります。集団的自衛権を認め海外派兵を可能にした「安保法制」は、すでに動き始めました。韓国との間の従軍慰安婦徴用工問題自衛隊機レーダー照射問題でも、虚実とりまぜた「平和省」風情報操作が目立ちます。安倍首相は特に必要性もないのに膨大な税金を使って「外遊」していますが、ロシアでもアメリカでも最近のイギリスでも、フェイクな「成果」が「真理省」経由でプロパガンダされます。自国に都合の悪い国際機関(IWC)は脱退。このままでは、新元号に「安」の字が入れられたり、カネまみれのオリンピックにヒトラーばりの演出がとられても、おかしくはありません。

かと 年初に風邪をこじらせ、幸先の良くないスタートですが、本サイトは引き続き、「改元」以前の西暦の20世紀にこだわり、戦争と平和、科学技術「進歩」と人権の問題を追究していきます。その一端である、2018年春に上梓した『731部隊と戦後日本』(花伝社)の延長上で、元731部隊軍医少佐であった長友浪男が、軍歴を隠して旧優生保護法強制不妊手術を担当する厚生省高官になり、北海道副知事に上り詰める問題等を、探求していきます。昨年11月八王子12月東大での講演は、どちらもyou tubeに収録されています。昨年末にウェブ公開が解禁になった、中部大学年報『アリーナ』誌第20号(2017年11月)に発表された長大論文「米国共産党日本人部研究序説」(藤井一行教授追悼寄稿)を、そのきっかけとなった、インタビュー1970年代「エピローグとなった『序説』への研究序説ーー『スターリン問題研究序説』と70年代後期の思潮」(中部大学年報『アリーナ』第16号、2013)とともに、歴史の記憶と記録として残しておきます。新年には、さらに遡った戦時思想検察資料太田耐造関係文書」(昨年クリスマスの『朝日新聞』記事参照)及び懸案戦時在独日本大使館員崎村茂樹の問題にも取り組んでいきます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

「平成時代とは何であったか」を考える2019年に!

2019.1.1 かと  目出度さもちゅう位なりおらが春 (一茶)

かと 新年ですが、明るい気分にはなれません。久しぶりで親族の不幸がなく、年賀状を書けますが、返事だけにします。ちょうど運転免許の更新時期で、いつもの運転免許試験場に出かけたところ、70歳以上には「高齢者講習」が必要とのことでした。それは試験場では受けられず、指定された民間の自動車教習所で予約の上、2時間受講必須とのことです。この予約がまた大変で、多くの教習所では2ヶ月、3ヶ月先まで満席です。ようやく小さなドライブスクールで、年内の予約が取れました。朝8時45分集合、5100円です。早起きは苦手ですが何とかでかけ、3人一組のコースをなんとか受講。高齢者の交通事故や道交法改正の一般的説明、車庫入れ駐車や一時停止の簡単な実技で受講終了証明書をもらい、ようやく改めて試験場へ。こちらは視力検査と写真だけで、なんとか更新ができました。ところが、できあがった真新しい免許証を見て、びっくり。「平成34年の誕生日まで有効」とあります。どこにも西暦年号はありません。国内の身分証明書としては始終使うので、今まで気にしなかったのですが、どうやら完全に日本国籍者向けのようです。そういえば受け取るときに、戸籍の確認もありました。要するに、完璧にドメスティックです。海外ではパスポートと国際免許を使ってきましたが、いまさらながら「元号」いや「天皇制の時間の仕切り」の拘束に驚き、憤りました。何しろ「平成34年」なんて永遠にこないことは、誰でも知ってることですから。

かと 先の国会で強行成立させた改正入管難民法との整合性を気にしてか、新年3月以降の運転免許証には西暦表示も併記することにしたそうですが、今年は、平成天皇の「退位=譲位」がらみで、天皇制の時間・空間への拘束が、いっそう強まることでしょう。もっとも平成天皇が「個人として」生前退位の希望を述べた「おきもち」や、自然災害被害者慰問や「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵」という85歳誕生日の「おことば」に、それ自体が日本国憲法の「象徴」規定を逸脱する政治的発言ではないか、という疑いの声がある一方、特に安倍内閣のファシスト化や軍事化への歯止めとして、「おことば」を「戦後民主主義の最後の砦」風に歓迎する声も強くあります。しかも、ややこしいことは、かつての「右翼=天皇制支持・国体護持」「左翼=天皇制反対・共和主義」という図式があてはまらず、逸脱論が右からも左からも出る一方、世論と左派・リベラル派に歓迎論が溢れていることです。 「天皇制廃絶」を戦前・戦後と長くアイデンティティとしてきた日本共産党が、象徴天皇制容認論に「変節」「転向」したことが 背景にありますが、「平成が戦争のない時代」という「おことば」自体、日本という「時間的・空間的仕切り」の中での、しかも沖縄や自衛隊海外派兵を捨象した話です。「平成時代」は、日本経済・外交にとっては「失われた30年」でした。「平成」の通用する国境の仕切りを離れると、ベルリンの壁開放・冷戦終焉・ソ連解体後の世界の再編期で、湾岸戦争・イラク戦争他地域紛争が頻発し、「平和」とは言えない時代でした。そこで日本が依拠し自衛隊まで派遣した米国の国際的孤立と衰退が深まり、中国やインドが大国になる過程でした。「戦争のない時代」とは到底いえません。日本の「平成時代」を象徴するものは、バブル景気でも政権交代でもありません。「もう一つの核戦争」ともいうべき世界史的災禍、2011年3月の東日本大震災・フクシマ原発事故です。

かと 私自身は長く天皇制に反対し、象徴天皇制が米国の世界戦略から導かれた対日占領政策の一部として成立し、日本国憲法の中で戦後も政治的に利用されうる「天皇制民主主義」の問題性を指摘してきました。無論、天皇制と天皇個人は区別さるべきであり、天皇家の人々の基本的人権も考慮さるべきです。にもかかわらず、平成天皇の活動に戦後民主主義を投影させ、被災地訪問や戦争犠牲者慰霊の旅を国民の多くが歓迎するのは、昭和天皇の戦争責任が米国と日本の支配層によって曖昧にされ、安倍内閣のような強権的政治が続いているからです。政府は年末に、国会の議論もなく、IWC(国際捕鯨委員会)からの脱退を決定しました。共に選挙区に捕鯨基地を抱える二階自民党幹事長と安倍首相の謀議によるものといわれますが、世界全体が米中対立を軸に揺らいでいる状況下の国際機関からの脱退は、米国トランプ政権にならった、孤立主義への一里塚です。韓国との自衛隊機レーダー照射をめぐる対立も、従軍慰安婦問題、南北朝鮮接近、徴用工裁判の流れで見ると、反韓嫌韓世論喚起の情報戦の一環に見えてきます。一時安倍外交の「成果」に見えたロシアとの平和条約交渉も、ロシア側の「日本の主権」への疑いから、暗礁にのりあげたようです。その根拠とされたのが、沖縄県民の度重なる民意表明を無視した辺野古米軍基地埋め立て工事強行であり、米国中間選挙結果を「トランプ大統領の歴史的勝利」と祝い高価な武器を押し売りされた安倍首相の対米追従が、国際的に不信を買い、嘲笑されている事態です。その米国では、中国との経済摩擦から株価が乱高下し、日本とのFTA交渉での自動車・農業・サービスを含む強硬な態度が見え見えです。「強固な日米同盟」など日本の片想いにすぎないことが、年初には明るみになるでしょう。安倍内閣の高支持率を支えてきた「アベノミクス」という言葉さえ、聞こえなくなりました。国債に依存した100兆円を超えた予算案には、増大する防衛費5兆円など、日銀の株買いによる財政破綻につながりかねないリスクも、透けてみえます。「いざなぎ越えの好景気」など誰も実感できず「毎月勤労統計調査」の労働・賃金統計さえ改竄されて、格差は拡大しています。

かと そこに天皇制の「改元」が入って、2019年4−5月には、一大国家イベントが挙行されます。新元号や新天皇がどうなろうと、巨大な「象徴天皇制の政治利用」が、4月統一地方選挙と7月参院選をはさんで、進められます。10連休で悲鳴をあげる日給非正規労働者や、金融信用システムの予期せぬトラブルもありうるでしょう。またしても、消費税を口実にした、衆参ダブル選挙さえささやかれています。安倍内閣によって仕上げられる「平成時代」とは、平和でも豊かでもなく、局地戦争と核軍拡が進む世界の中で、日本が米国の忠犬・財布としてしか存在感をなくし、少子高齢化と非正規雇用増大・貧困格差拡大のもとで、立憲主義も権力分立も専守防衛も壊され、安倍内閣のもとで「忍びよるファシズム」が進行する時代でした。政治改革も財政再建も幻に終わりました。2019年は、この「平成時代」を深く解析し反省しない限り、「失われた30年」を40年、50年と引き継ぎ続けるか、近隣諸国との戦争や軍事国家へのギャンブルに出る端緒になるでしょう。憂鬱な年明けで、「おめでとう」とは言えません。

かと 2019年も、本サイトは引き続き、政府のいう「Society5.0」や「第4次産業革命」「AI革命」などに幻惑されず、「改元」以前の西暦の20世紀にこだわり、戦争と平和、科学技術「進歩」と人権の問題を追究していきます。その一端である、2018年春に上梓した『731部隊と戦後日本』(花伝社)の延長上で、元731部隊軍医少佐であった長友浪男が、軍歴を隠して旧優生保護法強制不妊手術を担当する厚生省高官になり、北海道副知事に上り詰める問題等を、探求していきます。昨年11月八王子12月東大での講演は、どちらもyou tubeに収録されています。昨年末にウェブ公開が解禁になった、中部大学年報『アリーナ』誌第20号(2017年11月)に発表された長大論文「米国共産党日本人部研究序説」(藤井一行教授追悼寄稿)を、そのきっかけとなった、インタビュー1970年代「エピローグとなった『序説』への研究序説ーー『スターリン問題研究序説』と70年代後期の思潮」(中部大学年報『アリーナ』第16号、2013)とともに、歴史の記憶と記録として残しておきます。新年には、さらに遡った戦時思想検察資料太田耐造関係文書」(クリスマスの『朝日新聞』記事)及び懸案戦時在独日本大使館員崎村茂樹の問題にも取り組んでいきます。