1997年及び98年に行ったモスクワでの旧ソ連公文書館日本関係秘密文書調査は、実り多いものであった。もともと国崎定洞や勝野金政など旧ソ連で粛清・弾圧された人々の関係資料を求めてロシアを訪れたのだが、アルヒーフの日本関係資料整理は非系統的で、さまざまなファイルに分散されていたため、国崎定洞ファイルのほかにも、多くの副産物があった。このコーナーは、そうした副産物のなかでも「20世紀の神話」を崩壊させるに足るようないくつかの資料を紹介し、解読していく。これらの資料は、日本の社会運動史研究の中心センターの一つである法政大学『大原社会問題研究所雑誌』にエンドレスに掲載されていく予定なので、今後活字で公刊後3か月を原則として、HP上にも公表していく。
ここにはさしあたりの目次として、『大原社会問題研究所雑誌』の論説・資料紹介(予定を含む)と、これまで秘密資料を直接に用いて発表した論文、それに共同研究者藤井一行富山大学名誉教授の研究のリンクも収録しておく。
- モスクワでみつかった河上肇の手紙(大原社会問題研究所雑誌,1998/11)
- 1922年9月の日本共産党綱領(大原社会問題研究所雑誌,1998/12,1999/1)
- 第一次共産党のモスクワ報告書(大原社会問題研究所雑誌、1999/8 ・10)
- 第一次共産党「解党」の秘密(以下予定)
- 再建共産党「27年テーゼ」の周辺
- 「『非常時共産党』の真実──1931年のコミンテルン宛報告書」(『大原社会問題研究所雑誌』2000年5月、PDF版)
- 「32年テーゼ」の周辺と射程・再論
- 「スパイ査問」致死事件と「多数派」問題
- 「反ファッショ統一戦線」と日本人総粛清の共存
- 歴史における善意と粛清――国崎定洞の非業の死から見た『闇の男 野坂参三の百年』の読み方(『季刊 窓』第19号論文,1994)
- 地獄への道は、無数の善意で敷き詰められていた(『モスクワで粛清された日本人――30年代共産党と国崎定洞・山本懸蔵の悲劇』プロローグ・エピローグ・あとがき,1994)
- 『人間 国崎定洞』永久保存版(『人間 国崎定洞』はしがき・19-21章及び第二部、1995)
- 政治と情報――旧ソ連秘密文書の場合(『社会と情報』創刊号,1996)
- 「32年テーゼ」と山本正美の周辺(『山本正美裁判資料論文集』解説、1998)
- The Japanese Victims of Stalinist Terror in the USSR(旧ソ連在住日本人粛清物語、英語版、1998)
- 国境を越える夢と逆夢(『月刊百科』インタビュー、1994)
- 須藤マサオと国崎タツコのこと(『国民国家のエルゴロジー』後書きより)
- 「テルコ・ビリチ=松田照子」探索記(日本経済新聞ほか、1999)
- 「サダイチ・ケンモツ=健持貞一探索記」
- 勝野金政生誕100周年記念シンポジウム