LIVING ROOM 2 (OCTOBER-DECEMBER 1997)



 1997/12/17 Merry Christmas ! 更新する予定じゃなかったんですが、零下30度のモスクワへの出発直前にカウンターが5000ヒットとなったので、急遽一筆。皆様への御礼兼クリスマス・プレゼントとして、オーストラリアからメールで流れてきたパーティ用政治学特別講義 "World Ideologies Explained By Cows"をプレゼント。ただし「詠み人知らず」で、著作権の所在は不明です。私はかつてのアネクドート先進国ロシアに、ホカロンと共に輸出してきます。良いお年を!


12/14  岡山大の稲葉振一郎さんからメール。「自由主義史観研究会」の公式サイト は、<http://www.jiyuu-shikan.org/>だとのこと。.あわててヤフーでチェックし入ってみると、なるほどその通りでした。早速訂正します。日米歴史研究者のメーリングリスト「H−JAPAN」で紹介された下記のサイトは、どうやらサポーターのもののようです。藤岡センセイが石橋湛山を使ってTopを書き、『近現代史の授業改革』の「招待席」が続いているのも確認できました。稲葉さん、ありがとう! ついでに卒論奮闘中の4年ゼミテンに一言。冬休み中の卒論指導はメールで行います。1月10日までに進行状況報告して下さい。


12/13 12日のジェソップ夫妻国際セミナーは、成功裏に終わりました。今回からしばらく更新はなく、次回更新は正月年賀状版になります。というのは、18日にジェソップ夫妻を送り出し、翌19日から年末までロシアに飛び、モスクワで本HP掲載の「20世紀の謎解き」資料の発掘にあたります。5年ぶりのロシアですが、学術史資料の世界にもマフィアがらみの「市場原理」が入り込み、資料1枚閲覧いくら・コピー1枚いくらとバザール型交渉をしなければならないのが悩みのタネ。パワーブックとモデムは持っていきますが、インターネットはインド以下的普及状態らしいので、メールもしばらく通じません。宿舎は、四半世紀前25歳独身(!)の初「訪ソ」のさい泊まったことのあるクレムリン近くのインツーリスト・ホテル、日本人粛清犠牲者須藤政尾の遺児須藤 ミノルとの再会が楽しみです。

 去年のクリスマスはインドのカルカッタで、マザー・テレサの教会のミサでしたが、今年は零下20度という厳冬のモスクワです。60年前の岡田嘉子・杉本良吉の「愛の越境」の悲哀をしみじみと追体験しようという、センチメンタル・ジャーニーでもあります。もっともその前に、円安がどこまで進みドルをいつ買うべきか、アエロフロートが無事か、最近良くない体調がどうなるか、心配ですが。したがって、今年も年賀状は出せません。ただしメールを含め賀状をいただいた方には、哀愁のモスクワ旅行記にして正月に返事を書きます。悪しからず。

 おまたせしました。「国際論争のゲストルーム」は、長く工事中マークがついたままでしたが、このたびようやく棟上げを終え、イントロダクションを入れました。スキャナー原稿が完成次第、英文・和文とも、徐々に充実させていきます。乞うご期待。実は先日アメリカのSara Hinesさんという方から、このHP所収の英文Karoshi論文への長い感想をいただきました。メールで許可を得ましたので転載します。こういう反応があると、やっぱりHP開いてよかったという気分になります。私の友人たちのつくった『世界』98年新年号の共同提言「安心して働き続ける権利・宣言」、ぜひ英訳してネット上に公開すべきですね。もっとも同誌で驚いたのは、佐藤学さんの子どもたちの学校現場報告でしたが。より学問的にこうした問題に関心がある方には、先日も紹介した成沢光『現代日本の社会秩序』(岩波書店)をおすすめします。私たちの時間・空間感覚、整理整頓・清潔感、総じて現代の身体感覚が、いかに天皇制と軍隊・学校をくぐってつくられた「近代」の歴史的産物であるかを実証してくれます。ミシェル・フーコーの日本版と思って、ぜひお読み下さい。

 しばらくお休みなので、もう一つサーフィン・ガイド。例の藤岡センセイの「自由主義史観研究会」がいよいよネット上に登場しました。「左傾化したあらゆる領域を治癒して,本来の自由主義的なものへと変えなくてはならない。それはマスコミ媒体別にわけるとa,新聞界b,TV界 c,雑誌界 d,インターネット界 e,教育界である」「d,インターネット界は,いまだ数において,左翼優勢である。公開掲示板を読むと,左翼ばかりである。インターネット界でも自由主義者が圧倒的な割合にならなくてはいけない」ですって。伝統マルクス主義の裏返しで、敵をつくるのが好きですね。こんなのは気にせずに、どんどん「左翼?」のサイトを増やしましょう。「市民のための丸山真男ホームページ」さんは精力的な言論活動を続けています。当HPでは、研究者志望の大学院生・院志望学生用「一つの国家論入門」を追加しました。 


12/4ミラーサイトとしているtext versionの別宅HPが、更新のさいトラブり、通じなくなりました。とりあえず接続を断ち、緊急避難として別宅に入れるはずだったシンプルな論文ダウンロード専用ボードにきりかえます。


12/2 またもマックのトラブル。といってもOS8ではありません。研究室のスキャナーを快適に動かすため、Mac People誌のすすめに従ってシステムディスクのふだん使わないFontや古いソフトをどんどん削っていったら、TCPエラーでLANと接続できなくなり、メールもインターネットも見れなくなったのです。1日目は例によって学生たちが使い混雑のためとタカをくくっていたのですが、2日目の夕方もつながらず、ハードの接続を点検し、TCPソフトを再インストール・再設定してもダメ。とうとうこの道を究めたベテラン院生菊池君に助けを求め、システムそのものを作り直して、ようやく復旧しました。こういう場面では素人はだめですね。最近ボーダーレスとか学際化とかばかり言ってきたのですが、プロフェッショナルというものに改めて敬意。道を究めること深めることは、インドに通じます。 

 ボブ・ジェソップ夫妻来日日程の締めくくりに、12月12日(金)午後2ー6時、一橋大学佐野書院(中央線国立駅下車、南口より徒歩5分、正門守衛室で会場をおたずねください)で国際セミナーを開きます。東京政治研究会と共催で英語のみと予告しましたが、幸い当日のジェソップ氏の報告ペーパーの日本語訳ができましたので、グラムシ・シンポ報告日本語訳(高橋善隆訳)などと共に、当日配布します。立命館大学の松葉さん・国広さん・桜井さん、ご苦労様でした。当日はサム・アイリーン夫人(シェフィールド大学)「東アジア的ガバナンスの話法――レギュラシオンから時間と(地理的)ガバナンスへ(当初の予告からやや変更)」とボブ・ジェソップ教授(ランカスター大学)「国民国家という話法」の2本立て。一般の方にもオープンですので、グローバル化と国家論に関心のある方はぜひどうぞ。なお、12月6日(土)・7日(日)のフォーラム90s総会(「21世紀へ架橋する――国家と民族を超えられるか」、水道橋文京区民センター)では、私も全体フォーラムで今村仁司・新崎盛輝さんのコメントに立ちます。

 今回の追加は、13年前にジェソップと初めて会った頃の私の関心を示す「ユーロ・コーポラティズム論争」、かの藤岡信勝氏に「招待」されて「自由主義史観研究会」の旗揚げの雑誌に書いた私の藤岡批判と、東欧革命後に英文で書いた「東欧革命の日本的受容」。東欧革命論文執筆時にたまたま来日中で英文をチェックしてもらった友人アンドリュー・ゴードンは、いまやハーバード大学の日本史担当。日米関係だって不変ではありません。

来年3年に進学する一橋の学生諸君向けに、合宿所内ゼミ室に98年度ゼミナール案内を入れましたのでご参照ください。 

 先日有斐閣から出た、私も荒木敏夫・保坂智さんと共に執筆代表となった『日本史のエッセンス』という本、網野善彦さんの『日本社会の歴史』(岩波新書)とならべて古代から読み進めたら、昔ならった日本古代史像がいかにいい加減だったかに、改めて驚きました。考古学が未発達だったためか当時隆盛の単線唯物史観にあてはめたためだったかは問いませんが、どうやら講座派も「国史」だったことがよくわかります。金子勝さんの新著『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)を先日推しましたが、『世界』と『情況』誌の12月号論文もなかなかです。私自身の好みは、いま杉村芳美『「良い仕事」の思想』(中公新書)、成沢光『現代日本の社会秩序』(岩波書店)、野本一平『宮城与徳』(沖縄タイムズ社)といった世界ですが。



  11/26 ようやくMAC-OS8に慣れ、日本語入力にATOK-11を導入、EPSON GT-5500スキャナーにはE-TYPISTという市販のOCRソフトを使って、論文や資料を読みとれるようになりました。ところがメモリーを膨大に食うので、思い切ってHarddiskの大掃除をし、Fontをごく少数に絞り込んで、Power MACを軽くしました。そこで今回は、ついに二本の既発表の英語論文「ジャパメリカ」論「働き中毒」論を、メールで要望のあった私の最近の社会主義についての考えを述べた「ほめ殺しと脱労働の社会主義」と共に、uploadしました。このHPは重くなる一方なので、そろそろミラーサイトとの併用も考えなければなりません。だれか名案あったら教えてください。

 ボブ・ジェソップ夫妻来日日程の締めくくりに、12月12日(金)午後2ー6時、一橋大学佐野書院(中央線国立駅下車、南口より徒歩5分、正門守衛室で会場をおたずねください)で、国際セミナーを開きます。東京政治研究会の後援です。サム・アイリーン夫人(シェフィールド大学)の「グローバライゼイションと時間と空間の政治学」とボブ・ジェソップ教授(ランカスター大学)の「国民国家という話法」の豪華2本立て。ポスト・フォーディズム段階の国民国家と世界市場のつながりを、言説理論をも用いて体系化し、講演・討論します。私が司会しますが、原則として英語で通訳はつきません。ただしジェソップは独・仏・伊・デンマーク語、アイリーン夫人は香港出身で中国語も解しますから、これらの言語でも対話はできます。一般の方にもオープンですので、グローバル化と国家論に関心のある方はぜひどうぞ。なお、12月6日(土)・7日(日)には、フォーラム90s総会(テーマ「21世紀へ架橋する――国家と民族を超えられるか」)が、水道橋文京区民センターで開かれます。

 加藤ゼミの卒業生の方々は、リビングに記した400/600/1000/2000/4000ヒットがそうであったように、当HPの大切なクライアントです。先日も第1期生城本勝さんから、偶然みつけたとメールがありました。その皆様に耳寄りなお話。ゼミ文集『あす(us, tomorrow)』の第2号の原稿募集が始まりました。現役3年ゼミテン小林君が責任者で、すでにメールが届いたと思います。案内は、合宿所寝室内OB・OGネット告知板にあります。締切は1月15日、卒業式前の追い出しコンパに完成の予定です。近況報告でも文芸作品でも卒業論文の続きでも、なんでもかまいませんから、ふるってご寄稿ください。ゼミ室に98年度ゼミナール案内を入れました。

 「今年は本を出さない」と決意し宣言したのは、昨年インドに滞在し、古代からポスト・モダンまでの時間が重層的に共存する人類史の奥深い闇(遠藤周作は「深い河」と表現しました)を覗いてしまってのこと。この10年ほど毎年数冊のペースで書物を出してきて、過労死を研究しながら過労死予備軍なみのライフスタイルになっていたことを、自己批判・反省してのものです。その公約違反といわれそうですが、11月20日に有斐閣から、私が荒木敏夫・保坂智さんと共に執筆代表となった『日本史のエッセンス』という本が刊行されました。ただし執筆したのは2年前で、諸般の事情で刊行が今年にずれこんだまでのこと。大学1・2年生、短大生向け「有斐閣アルマ」シリーズの1冊で、沖縄からの視点と生活文化の変容を意識的にとりいれ、1945年以降の現代史を90頁ほど書いています。よろしく。


11/19  HPの重量が大きくなり遅くなったというメールでのご意見にしたがって、このトップページまでの英文カバー、和文カウンターページの自動移動時間をそれぞれ3秒間に短縮しました。

11/16 靖国神社近くのイタリア文化会館で、週末に国際グラムシ研究シンポジウムが開かれました。J・ヴァッカ・グラムシ研究所長、J・ブッティジジ国際グラムシ協会事務局長らが来日し、のべ500人が参加。この種のテーマでは珍しく若い女性が多く華やか。2日目にジェソップは「統合的経済、フォーディズム、ポスト・フォーディズム」を報告、私は第1日の総合司会あいさつで、Resources on Antonio Gramsci」ほかインターネット上での最新のグラムシ研究情報を披露。全体として、ロシア革命80周年ではなくグラムシ没後60年を記念する意味を問いかけ、人類共通の知的遺産としてアントニオ・グラムシをそれぞれに学ぶという姿勢が目立ちました。裏方を支えたのはアカデミズムの住人ではなく、無名の多くの「有機的知識人」たちでした。ボブ・ジェソップ=サム・アイリーン夫妻は、17日から2週間、関西(立命館大学が宿舎)に滞在します(滞日日程をご覧ください)。

11/15  前回の更新で、吉田誠さん野口貴公美さんのHPから拝借した"We Love Mac!"を華々しく飾り付けました。その勢いと乗りでMicrosoftの軍門に下りつつあるジリ貧MACの命運をかけた最新版OS8を自分でインストールしたら、ひどい目に遭いました。もちろんアイコンはぐっとスマートになり、インターネット関連Netscape、Eudora Proのソフト乗り換え・設定もうまくいきました。ところがなんと、愛機Laser Shot Printerが動かなくなったのです。それも国際グラムシ・シンポを目前にして総合司会の開会スピーチ案をインプットした直後に。あわてて説明書類を読み直し、出入りの業者にFaxを送り、新宿西口まで出かけていろいろ聞きまくって、ようやく4日目に解決。けっきょくプリンタドライバーの製造元に直接問い合わせ、その指示で製造元のホームページからOS8対応にversion up されたドライバーをダウンロードし、それを解凍・再インストールしてようやくプリントできました。パソコン屋さんの話では、今回のような大幅version upでは、Mac純正プリンターやOS8対応ソフト以外はほとんどそのままでは使えなくなり、それぞれのプリンター・メーカー、ソフト・メーカーで対応策をとりつつある段階なそうです。大々的な宣伝のわりに不親切ですね。幸い愛用のAI将棋は動きましたが、この調子では次はどのソフトが動かなくなるやら。おっかなびっくりの今日この頃です。マックファンはご注意!

 栄光の4000ヒットは中島徹夫さん、先日同期の結婚式で会ったばかりの旧ゼミテンでした。まじめを絵に描いたような銀行マン、といいたいところですが、卒業論文は趣味を生かして「競走馬の国際化」というつわもの。まちがっても職場の資金を趣味につぎこんだりしないように。なにしろいまや銀行は問題産業ですから。もっとも中島さんたち若い世代は大丈夫、労働コスト削減は私たちの世代に一番厳しいようです。そのうちインターネット・電子メールを使える中年と使えない中年とで差別化・リストラがはじまるかも。「万国の団塊の世代(Baby Boomers)、インターネットせよ!」とでも叫びましょうか。

 「市民のための丸山真男ホームページ」さん、おまたせしました。私の返信「市民とアカデミズムと有機的知識人」にコメントいただいたままになっていましたが、ようやく第二の返信をお送りできます。といってもWebmasterのH.Tanakaさんはすでにご存知なのですが、この往復書簡がなぜか文学者の皆さんの眼鏡にかない、これまでのと併せた2往復書簡が「市民とアカデミズムと知識人」と題して『葦牙』近号に掲載されることになりました。ここに新規掲載する私の第二返信「21世紀の有機的知識人について」は、印刷・公刊されることを意識して書いたもので、すでにメールでH.Tanakaさんにも目を通してもらっています。インターネットのホームページ上で始まった討論が印刷文化に進出(侵略?)する例として、皆さんもぜひ書店でご注目ください。あまり世間には知られていませんが、良心的で知性あふれる同人雑誌ですから。ついでに国崎定洞没後60周年の命日を前に、「20世紀の知識人の悲劇」シリーズにさらに3本の比較的長い論文を加え、供養することにします。もっともこれを入れたらそろそろこのHPの重量リミット、代わりにゼミ合宿のデジタル写真を削除します。学生諸君、悪しからず。


11/2  イギリスからボブ・ジェソップ=サム・アイリーン夫妻が来日して2週間(滞日日程をご覧ください)、面白いことを発見しました。デンマークから一橋のボブのアドレスにE-mailが来て、新しい4本の論文を読みたいというのです。彼はカトウのホームページで見つけたはずだ、というのがボブの解釈。私の知人ではありませんから、このジェソップ追っかけマン氏は、広大なバーチャル宇宙を泳いでデンマークから入ってきたようです。もっとも11月1日朝にメールチェックのため立ち上げHPに入ったら、なんと自分自身で3500ヒット。考えてみれば、一番ヒット数が多いのは自分かもしれません。インターネットの自己表現には、たぶんにナルシシズムの気があります。自戒。

 いずれにせよ英語版を充実させなければなりません。そこで新着スキャナーERSON-5500が活躍して連休に5本ほど英文論文が入るはずだったんですが、いかんせん、付属OCRの解読力がイマイチで、1頁ずつとっていったらいつまでかかることやら。誰からもメールで指摘されなかった英文過労死論文中の欠落、オーストラリアの金属労組機関紙に載った日本のサラリーマンを風刺した漫画のみをこっそりデジタル化し、英文論文の追加は正月の目標と言うことになりそうです。

 靖国神社近くのイタリア文化会館で、11月15日(土)・16日(日)、国際グラムシ研究シンポジウムが開かれます。J・ヴァッカ・グラムシ研究所長らが来日し、ジェソップも「統合的経済、フォーディズム、ポスト・フォーディズム」を報告します。私は総合司会を頼まれているので、遅ればせながらグラムシ研究のサイトをはしご、やはりアメリカのJ・M・キャメットのHP「Resources on Antonio Gramsci」が抜群です。グラムシの知識人論もさることながら、イタリア「オリーブの木」内閣文相(ベルリンゲル元PCI書記長の従兄弟)が、没後60周年にあたってグラムシ学習を学校教育で義務づけようとして世論に反発された事件の経緯を、興味深く読みました。

 秋が深まり、紅葉・大学祭のシーズン。私にとっての秋とは、国崎定洞を偲ぶ季節です。1894年10月4日が誕生日の日本の社会衛生学の開拓者で反ナチ革命家、1937年12月8日にモスクワで非業の死を遂げましたから、グラムシと同じく今年は没後60周年です。私にとって、グラムシの生涯と「有機的知識人」の構想は、国崎定洞の流離の生き方と重なります。同時にグラムシが「現代の君主」として「党」を位置づけたことが、国崎のスターリン粛清の悲劇とオーバーラップするのです。「市民のための丸山真男ホームページ」さんへの直接の回答にはなりませんが、私にとっての「20世紀知識人」研究である国崎定洞についての記録を、いくつかの著書の「はしがき」「あとがき」を連ねて作ってみました。私が出版編集者からアカデミズムに入った思想的軌跡、「ネオ」から「ポスト」マルクス主義を名乗り「エルゴロジー」を提唱するにいたった理論的軌跡も、ここに述べられています。廣松渉・平田清明・丸山真男の追悼も兼ねて、ここに収録します。21世紀の知識人像を探るために。



10/25イギリスからボブ・ジェソップさん、サム・アイリーンさん夫妻が来日しました。滞日日程をご覧ください。プーランザスを継承したネオ・マルクス主義国家論で著名ですが、日本の読者には、経済学者平田清明さんが晩年にしきりに引用し依拠していたポスト構造主義の社会科学方法論の提唱者といった方が、わかりやすいかもしれません。その彼が、今度は「文化」の領域にも本格的に切り込み、東アジアにおけるグローバル市場と国民国家の関係を探るためにやってきました。10月24日の一橋大学での講演会は、レギュラシオン理論のR・ボワイエ教授とジョイントだったこともあり、盛況でした。この日の会を専修大石塚良次さんのホームページが大きく宣伝してくれていたことを直前に知りました。ありがとうございます。やっぱりネットサーフィンは、じっくり時間をかけないといけませんね。

 またこの間に、「市民のための丸山真男ホームページ」さんからは、先日ようやくuploadした私の「返信」への再コメントをいただきました。「無知な一市民」なんて名乗りながら、「アカデミズム」の量産する多くの言説よりもはるかに知性的な鋭い観察で、感心させられます。それだけに安易な「ことば」で反論するのは難しいのですが、可能な範囲で公開「対話」は続けたいと思います。私のリズムではとても更新ごとに返信というチャット方式はとれませんが、どうか期限は区切らないでお待ちください。ひょっとするとこの論争、活字文化に「侵略」するかもしれません。

 アメリカ留学中のジェンダー研究のホープ明治学院大加藤秀一さんが、カルフォルニアでの「やみくも読書日記」を日本へ発信するという面白い試みを始めました。岡山大稲葉振一郎さんの素早く鋭い「インタラクティヴ読書ノート」とともに、読書ファンは要注目。実は二人とも学部ゼミ卒業生です。専用合宿所には、冬学期学部ゼミ・大学院ゼミ日程、箱根合宿のデジタル記念写真とともに、タイの三重野夫妻、テキサスの根本さん、テレビ東京尾崎さん、大和総研今城さん、リクルートというよりアメフト日本一の遠藤さんほか、なつかしい仲間のアドレスが更新されています。

 先日見つけたエキサイティング・サイトは、革新派アジア研究の老舗――"Bulletin of Concerned Asian Scholars"。ベトナム反戦から始まったアメリカの批判的アジア研究は健在だったんですね。ブルース・カミングスの長大論文は、冷戦期CIAとアカデミズムの結びつきを実名入りで告発しています。チャーマーズ・ジョンソンの「CIAと私」と題した弁明(開き直り?)も必見。月末更新の予定を、ジェソップ滞日日程確定と3000ヒット突破で繰り上げたため、書斎にはメールで要望のあったウォルフレン論のみを追加。秋です。ちょっとアイコンを変えて衣替えです。 


10/15講義、ゼミ、学会、結婚式、調査と、秋のリズムが戻ってきました。夏のリズムからようやく離れて、宿題になっていた「市民のための丸山真男ホームページ」さんへの返信を、ようやく書きあげました。クラリスホームページによる初の書き下ろしです。でも問題が重いのと製作途上で停電ダウンが入り、なかなか論文式には書けません。私にとってのインターネットとは、どうやらエッセイ向けの媒体のようです。

 ところが、すごいサイトをみつけました。大原社会問題研究所の二村一夫さんのホームページ。なんと『二村一夫著作集』と銘打って、自分の全著作をHTML化するというのです。聞くところによれば、二村さんは今夏これに全力を傾けたとか。魂の入れ方が違います。名著『足尾暴動の史的分析』以外はほぼそこに収録されるそうです。社会科学におけるインターネット利用の一つの範型となるかもしれません。必見。

 今月は結婚式3つ、そしてお葬式がありました。マスコミ論の佐藤毅さんがお亡くなりになりました。博学で包容力があり教育熱心でした。一緒に国立市の政治意識調査をしました。スチュアート・ホールの論文のconjunctureをどう訳すべきかでずいぶん議論しました。局面、状況、情況、情勢……、けっきょく「情況」におちついたのは、たしか82年頃のこと。そのホールがカルチュラル・スタディーズの教祖に祭り上げられようとするとき、日本において最も早くホールに注目し紹介してきた一人である佐藤さんは亡くなりました。享年65歳、あまりにも早すぎます。合掌。

 今回の更新はエッセイ2本、書評1本追加。リンクガイドを更新しました。根本辰資料の解読と勝野金政関係聞き取りが終わったところで、ベルリン反帝グループの小栗喬太郎の手に成る岡部福造と佐野碩についての手記が新たに発見されました。小栗風葉の甥である喬太郎については、親族でもある作家小中陽太郎さんの評伝小説『西は夕焼け東は夜明け』が近く完成します。「今月の尋ね人」の更新はまたまた延期です。一片の情報も収集できずに特別室を更新するのでは、インターネットの限界を見たみたいで悔しいですから。ボブ・ジェソップの最終滞日日程をご覧ください。


10/5  さっきまで日本政治学会研究大会。年に1度の政治学者のオマツリ=マツリゴトで、私も猪口孝さん、山口二郎さん、福井治弘さん報告の共通論題「デモクラシーの現在と未来」のディスカッサントにかり出されました。どうせ左翼の代表としてコメントしろということでしょうから、開き直ってH・アレント、J・ハーバーマスにD・ヘルド、R・ダールまで動員して、行政改革・規制緩和で市場に任せろが本当にデモクラシーにつながるのか、むしろ多国籍企業や環境・ジェンダーを「公共性」の論題として公論に付すことこそデモクラシーの課題ではないか、とコメントしてきました。でも学会全体でのホットな話題は、やはり丸山真男。加藤節さんと渡辺浩さんの白熱した論争が見物でした。せっかく姜尚中さんもきていたのに「古層」に論点が集中して「国民主義」まで議論できなかったのが残念ですが。

 新学期、学会シーズン、ジェソップ来日と多忙になり、とても毎週更新はできません。そこで、月2回ほどのペースにおとそうと思います。また軽量別宅テキスト・ヴァージョンの方は、当分更新しません。論文・書評のダウンロード専用にしてください。ボブ・ジェソップ教授の滞在日程が固まってきましたので、公開講演会に興味のある方は、ジェソップ氏来日関係客室の掲示板をごらんください。

 加藤ゼミ専用合宿所の学生・院生ページ等を、冬学期用に更新しました。合宿所関係ですが、面白いサイトをみつけました。学部ゼミOG野口貴公美さんの乙女チックなホームページ。とはいえ、21世紀日本の社会科学を最前線で担う若手法学研究者による、技術的にきわめて高度な、美的にも洗練された素敵なサイトですから、加藤ゼミ卒業生はもちろんのこと、若者文化を探求したい人、マックでこれからホームページをつくりたい人にもお勧めします。

 今回の更新は短いエッセイ3本、書評1本。「今月の尋ね人」を更新する予定で準備していたら、こちらは新たな展開があって、しばらくこのままにします。ベルリンの根本辰について、ご遺族宅から1929ー33年ドイツ留学時のパスポート・手紙類がみつかり、モスクワの勝野金政については、戦時中の証言者が現れました。残念ながらこのHPの手柄ではなく、私の研究ルートからの情報ですが、面白くなりそうです。近く本格聞き取り調査に入りますが、先週入れたとも関係しますので、『日本共産党への手紙』所収の「科学的社会主義の審問官ではなく、社会的弱者の護民官に」草稿、時事通信論評「ひとつの時代の終わり」は、関連資料とともに扱いのままにしておきます。


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