オバマで世界は変わるのか

ー2008米大統領選のゆくえー

 

 M・ポアチャ(PUACA)

                


目  次

はじめに       

目的 

オバマの反動性 

方法論

 

1 対外政策 イラク・アフガニスタン戦争は終結するのか? 

イスラエルの軍事演習

ワシントンが画策する 『オクトーバー・サプライズ』

戦争に対するオバマのスタンス

 

2 国内政策 金融危機は、解決するのか? 

「アイデンティティ・ポリテックス」勝利演説時の理想主義の取り込みと利用 

「ポピュリズム」仕組まれた「やらせ」集会 空疎、中身がない 3・18演説

失業者に言及するが、実際に失業対策はない 提示はするが微々たるもの

オバマの選挙戦略における人種、階級、政治  

ウォール街との密接なつながり 政界、金融界からの多額の寄付金 

ウォール・ストリートと「メイン・ストリート」間の綱渡り 

肌の色などではなく、階級格差が問題 

二極化する社会、

そしてオバマは勝ち組であり、抜本的対策はできない 

米支配者層内の多くはバラク・オバマが国内外の利害と権益を保護するものと考えている

 

3 オバマで世界は変わるのか? 

真の分断は人種ではなく階級である

国外への戦争、国内での抑圧に打って出るしかない体制の危機

危機に立つ米帝国主義の救世主オバマ 

今後の世界

 


はじめに

 

目的 

これは、2008年米国大統領選に名乗りを上げた三者、民主党バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン両上院議員及び共和党ジョン・マケイン上院議員の政治政策についてまとめたものである。特に次期大統領候補として最有力と目されるバラク・オバマ氏のスピーチ演説による言説(ディスコース)に焦点を当てて分析し、考察する。

オバマ氏の選挙キャンペーンにおけるキー・ワードは『変革』である。彼の言葉の端々から垣間見られる政治政策によって、私たちは彼に、どれだけの変革を期待できるのか。イラク・アフガニスタンでの侵略と占領は終結するのか、金融危機は、住宅問題は、やがて世界を飲み込むであろう食料不足は、解決されうるのか。新たな時代を担う、米国と、それが大きく影響する世界の政策担当最高責任者は、現存する諸問題に、どう対処しようとしているのか。アメリカは、そして世界は本当に変わるのか。いわゆる一般的なリベラル派が持ち上げるように、彼は本当に『変革』を志向しているのか。それは、どこまで。

オバマ上院議員は6月3日の予備選最終日に、民主党大統領候補選に決着をつけた。6月4日夕方のABCニュースでは、ヒラリー・クリントン上院議員は正式に候補者レースから外れることを表明し、オバマ氏の民主党大統領候補指名を支持すると明言した。

オバマ氏の候補選勝利のニュースは、米国の政治と社会の民主的で進歩的な性格の証として、米メディアに持てはやされている。オバマ氏は二大政党の大統領候補勝利者としては最初のアフリカ系米人である。彼はライバル、ヒラリー・クリントン上院議員を長引いた予備選できわどくしかし強力に打ち負かしたが、彼女も大統領候補選に名乗りをあげて最も成功した最初の女性である。米メディアはアフリカ系アメリカ人と女性が米二大政党の正式な大統領候補として承認されたことは多くの大衆にとって社会的な前進であると書き立てている。

国民の代表者、一国の指導者を選ぶ際に、真に着目されねばならないのは、性別や肌の色といった「アイデンティティ」ではなく、彼らが提唱する政治政策であり、それがどう国民と国内政治、ひいては世界に影響を与えるのかということのはずであるが、米マスコミは「黒人と女性が史上初めて二大政党の一つの大統領候補として認められた」ことをアメリカ民主主義の成熟度を示すものとして持ち上げている。しかしこれ自体が米国の民主主義機構は幼稚な段階、あるいは後退しているということの指標と言えるかもしれない。そしてこの「アイデンティティ・ポリティックス」に隠されて、彼らの真の目的、意図する政策が見えなくなっている。

オバマ氏の反転

民主党内の指名レースの段階ではオバマ対クリントン、「黒人か女性か」という構図で語られてきた対決構造が、民主党の正式候補がオバマ氏に確定して以降、一転して、オバマ対マケイン、民主党対共和党の論争となり、予備選時にははっきりしなかった各候補の政策の焦点がかなり正確に見えるようになってきた。特に民主党オバマ候補は、指名が確定したとたん、それまでの言辞を一転させ、急に右寄りスタンスを深めているようにも見える。

                                                                   

その例をいくつか上げると、候補に決定した翌日には首都ワシントンに舞い戻り、米政界に大きな影響力を持つ親イスラエルのロビー団体「米イスラエル公共政策委員会」(AIPAC)の年次総会でスピーチを行ない、米国とイスラエルの利益保護に政策をシフトする旨を表明している。その冒頭彼は「イスラエル国家の建設は、正当で必要です」と言い、イスラエルのパレスチナに対する抑圧を支持する発言をし、さらにブッシュの、選挙で選ばれたガザ地域のハマス政権との交渉を拒否する政策を支持した。オバマ氏はこれまで通り大規模なレベルでの米軍を投入してイスラエルを援助することを公約して、今後十年間にわたってイスラエルに300億ドルを保証するとし、さらに彼は地域の他の国を凌ぐ「イスラエルの高度な軍事的優位性を保証する」ことを継続すると言った。                                      

スピーチの後半は『イランの脅威』に終始しており、こう宣言している。

「イランは常にイラクよりも大きな脅威をイスラエルに誇示していますが、イラクでの戦争のためにますます伸張し、米国とイスラエルに戦略的にチャレンジしようとしています」「我々はイランに圧力をかけるために、米国の力を最大限に発揮します。これは積極的で、主張を曲げないという信念を持って、原則として硬派な姿勢で臨む外交政策ですが、私たちの利益がどこにあるのかを冷徹な目を持って見極めなければなりません」(1)

これまでオバマ氏はブッシュ・チェイニーによるイラン政策を批判し、ニューヨーク・タイムスなどのインタビューでも、自分が大統領になれば、イランやシリアの「指導者たちと直接会い」、さまざまな問題について「自ら交渉を行う」と述べてきており、ネイション誌などに「外交政策に、より人道的で賢明な姿勢をもって臨む」姿勢を見せていると書かれてきた。が、ここでの発言はそこから180度の転回と言えるだろう。(2)   

さらに氏は「米国と私たちの同盟国イスラエルの安全保障のために、常に軍事行動という脅威をテーブルに置いておく」と確約し、「対峙する時に他に選択肢がないことがままあります」「もし我々が軍事力を行使しなければならないのであれば、我々はより成功する可能性が高くなるし、国内でも国外でもずっと大きな支持を得ることになります」「私たちはイランに、明確な選択を提示します。もしあなた方(イラン)が、危険な核プログラムとテロへの援助とイスラエルへの脅威を全て取りやめるのであれば、経済制裁を解除して国際社会で政治的経済的な参加を果たすことなど有益で重要な報奨が受け取れます。もしそれを拒否するのであれば、私たちは締め付けの圧力を一段階上げます」と発言している。つまり、彼のイランとの交渉は不断に米国の軍事攻撃という脅威のもとで行なわれるということである。

ここには何らの平和主義的姿勢も反戦の主張もなく、イスラエルによって国を奪われたパレスチナ人の願いも希望も踏みにじり、イランに新たな侵略と虐殺を拡大し、事実上、ブッシュ政権の戦争と挑発の政策を継承する姿勢が見られる。むしろ、オバマがこのイスラエル団体AIPACの面前に提示していることは、彼はリアル・ポリティクスをブッシュ以上に有能に、より知的に実行していく力量があるということである。

オバマ氏転回のもう一つ顕著な例を上げると、米連邦最高裁判所は6月12日、賛成5反対4でキューバのグアンタナモ米海軍基地に収容されているいわゆるテロ容疑者に対し、無期限拘束は違憲であり拘束への異議を申し立てる権利を認めるとの判決を下した。収容者らを不法で危険な「敵性戦闘員」と規定し、拘束を続けることの正当性を主張してきたブッシュ米政権にとっては大きな打撃である。オバマ氏はこの時、最高裁決定を支持し、人権と民主的権利総体を擁護する側に立っていた。

その一週間後、米連邦最高裁は、児童レイプのような非道な犯罪であっても、被害者が死んでいない事件で死刑を適用する法律は、残酷な刑罰を禁じた合州国憲法に違反しているので無効だ、とする判断を示した。この時オバマ氏はシカゴでの記者会見で、「私は賛成できない。小さな子供をレイプすることは凶悪な犯罪だ」として自分は死刑制度を支持すると表明し、「この決定は連邦最高裁が国家の権限を制限することになる」として最高裁の判断を批判した。(3)

 オバマ氏のこの反応は一週間前とは全く正反対である。オバマ氏がこうして最高裁の右翼少数派に追随している理由は、民主党大統領候補指名が確定し、ホワイトハウスの地位が目前に現実化している今、素早く右派に身を転じて、米国の支配者層の視点から好都合な、自分は国を治めるのに足る人間であるとアピールしているようにも見える。    

さらにブッシュ大統領が提出した、市民への監視・盗聴を広範囲に普及させるスパイ法案に対し、オバマ氏と他の民主党議員は賛成票を投じて議会を通過させ、彼は6月20日にそれを支持する声明を出した。この法の成立によって、正規の令状がなくても通信傍受が認められることになり、それに加担して全てのデータベースとeメール情報を政府筋に手渡し全面的に協力してきた通信会社の責任も問われないことになった。ここでもオバマ氏は、スパイ法に賛成してあくまでも国家の権限を強化しようとする姿勢を貫き、これまでブッシュ政権の政策に首尾一貫して反対してきたというスタンスと主張を突如として投げ捨てている。

昨2007年8月議会に提出された「2007 年アメリカ保護法案」に対し、オバマ氏を初め民主党の多くの議員は、裁判所の適切な判断なしにアメリカ市民の合法的な通信を盗聴することは行き過ぎであるとして、これに反対票を投じた。今年1月の声明でも、オバマ氏はこう言っている。「何人も米国民、米国大統領、令状なしで監視プログラムを施行した通信会社も含めての基本的な市民権、自由権を侵すものが自由に横行できることがあってはならない。我々はこの線を超えることを決して許してはならないのだ」

その姿勢を一転させて、ブッシュが求めるスパイ法に賛成した理由を説明する声明が、オバマ・キャンぺーンの公式サイトから出されている。彼はその声明を、ブッシュ政権が基礎づけた「テロに対する戦争」を容認する趣旨から始め、市民権の侵害の際の口実として『テロリズムの脅威』を上げている。「我々が現在直面している重大な脅威を考えると、我が国家安全保障庁は情報を集めて、テロリストが行動を起こす前に見つけ出す能力を有す必要があります」「(今回承認した法案は)全く不完全なものではありますが、昨年のアメリカ保護法よりもずっと改善された跡があります。テロとの闘いを継続する中で重要な道具となるこの妥協された法制が施行されると、大統領が今まで裁判所の令状なしで行なってきた違法なプログラム(盗聴のこと)は解決されます」 オバマ氏は最後にこう締めくくる。「私はこの妥協案を支持はしますが、大統領として私は注意深くプログラムを監査し警視総監からの報告書をよく吟味して、私が米国人の生命と自由を保護するために必要だと考えるさらなる措置を取ることについては議会とともに協力していきたいと考えています」(4)

すなわち彼は最後に、将来のオバマ政権はこの恣意的な警察国家としての権力をブッシュ政権よりも慎重に行使するということを信じて任せるよう、読み手を説得しているわけである。しかし彼が「必要だと考えるさらなる措置を取る」ことには何の制約もなく、これは民主的権利をさらに侵害することを容易に正当化してしまう可能性がある。

テロに対する戦争を認め、そのための安全保障は民主的権利と引き換えに犠牲にできるという主張は、現大統領ブッシュのスピーチをそのままエコーしているかのようである。市民の民主的権利に対する最大の脅威は一握りのアル・カイーダではなく、政権を担う政策担当責任者の反動的思考であり、国家機構のあり方そのものである。

方法論

この小論では民主党大統領候補指名がオバマ氏に確定した6月3日以降の、民主党オバマ候補、共和党マケイン候補のスピーチに焦点を当てて、米国の政治機構がめざすものと今後の方向がどうなるかについて考察したい。特に『変革』を叫ぶ民主党オバマ候補が大統領選に勝利した場合、共和党マケイン候補がひき続きブッシュ政権を引き継ぐ場合よりも大きな政策の転換が考えられるため、特にオバマ候補に焦点を当てていく。内容は三章に分かれており、第一章で米国の対外政策、主に軍事・戦争政策について、第二章で国内政策、特に金融危機対策、失業対策に焦点を当てて考察し、第三章では包括的にオバマ氏の『変革』の中身を検証し、「オバマで世界は変わるのか」に対しての回答を模索する。

 

1 対外政策――イラク・アフガン戦争は終結するのか?

 

イスラエルの軍事演習

 6月20日のニューヨーク・タイムス紙に、6月初めに行われた、地中海上空でのイスラエル軍による大規模な軍事演習についての詳細な報道が載った。100機を超えるイスラエル製F-15とF-16戦闘機の他、空中燃料供給タンカーと救助ヘリコプターなどが参加して展開された広範囲にわたるこの演習は、ペンタゴンの匿名の情報筋によると、イラン攻撃を想定した空爆の予行演習である。(5)

6月22日、ロンドンのタイムズ紙に引用されたイスラエルの高官は、事態をより率直にこう説明する。

「イランは禍の兆しに気がつくべきだ。これは攻撃のリハーサルであり、イランは核兵器開発のプログラムを継続する前に、それがどういう結果と筋書きをもたらすかを読むべきなのだ。もし外交による交渉が何の結果をもたらさなかったら、イスラエルはイランの爆弾レベルのウラン製造を中止させるための軍事ステップを取るだろう」

 とは言え軍事アナリストの間では、イスラエルの空軍自体には、地下の掩蔽壕に保管されたイランの核プログラムを破壊することは可能であっても、それ以上にイランに対峙できうるほどの戦略的能力はないということで一致している。イスラエルのイランへの恫喝が効果を発揮するとしたら、米国のキャンペーンの一部として機能させるか、米国を説き伏せてそういった攻撃に関与させるかである。

 この軍事演習に続き、6月27日マイケル・ミューレン米軍統合参謀本部議長がイスラエルを訪問した。会談の内容の詳細はどこの報道にも見つけられなかったが、米-イスラエル間で具体的にイランへの軍事攻撃について話し合ったものと見られる。(6)  ミューレンの他、二人の米軍高官、海軍作戦部長ゲリー・ラヘッド大将と、陸軍訓練教義集団司令官ウイリアム・S・ウォラス大将も同じ週にイスラエルを訪問している。イスラエルとイランが交戦状態に入った場合、ペルシャ湾岸で米海軍が中心的な役割を果たすことになるため、ラヘッド大将の存在はイスラエルにとって特に重要である。

 これに先立つ6月6日、モファズ・イスラエル副首相はイスラエル紙に「イランがこのまま核兵製造プログラムを続けるのであれば、我々は攻撃する」と断言している。6月20日には駐米イスラエル大使サライ・メリドがCBSニュースに出演し、外交的な行動によってイランの核プログラムを阻止するには「もう時間切れ」であり、「我々はこの脅威をこれ以上見過ごすことはできないし、我々の首相も、核を持つイランを容認できないと言っている」と発言した。(7)  それら政府筋に同調するイスラエルの有力紙エルサレム・ポストは6月26日の記事で、「イラン政府はロシア製の高性能S-300対空ミサイルシステムを購入している」としており、それに関しイスラエル軍は「我々の側まで到達させてはならない」と警告している、と報道している。

米国と同様にイスラエルは、イランは来年にも核兵器を製造すると主張している。しかしそれに何ら実質的な証拠はない。イスラエルと違ってイランは核不拡散条約の加盟国であり、国際原子力機関(IAEA)の査察も受け入れてきている。国際原子力機関の報告書は一貫して、イラン政府の従来からの主張通り、イランは原子力発電に必要な低レベルの濃縮ウランを計画に沿って製造しているに過ぎないとしている。昨年12月にも、米国の情報機関である国家情報評価(NIE)は「イランは2003年に核兵器開発を停止していた」と報告している。

イスラエルのあせりは、イランが実際に核兵器を製造しているかということとは関係がない。もし「時間切れ」なのだとしたら、それはブッシュ政権の任期が終わりに迫っているということである。エルサレムにある調査機関、サレム・センターのアナリスト、マイケル・オレンはCBSニュースでこう発言している。「ブッシュ政権はイスラエルに、イランに核保有はさせないと確約しています。ですがブッシュの任期が切れた後の時期政権がイランにどう対応するかは定かでないため、その前にイスラエルが行動を起こす可能性は大です」(8)

とにかくイスラエルは中東地域で核を独占的に保有し優位性を保つために、地域全体を戦場にすることすら厭わない。そして米国も、中東に支配権を打ち立てるために、イランは邪魔だと思っている。

とは言えどのように理由づけられようとも、イランへの攻撃は計り知れない規模の犯罪である。それらの核所有だのというでっち上げの背後にあるのは、米支配者階級とその代理人イスラエルの、中東地域、すなわち世界の主要な石油が埋蔵される地域の権益をどの国、どの国の連合や同盟にも渡さないという固い決意である。そしてイランの、何年にもわたるEU、ロシア、中国との政治的経済的友国関係、貿易や交流のつながりを、孤立化を深める米政府は直接的な脅威であると見なしている。

ワシントンが画策する 『オクトーバー・サプライズ』

大規模軍事演習に関するニューヨーク・タイムズ紙など米メディアの報道は、イランへの締めつけを強化したいイスラエルの意図的なリークであり、巧みに画策されたプレッシャーキャンペーンの一環で、見せかけのリハーサルであると広く見なされている。(9)

とは言え米メディアがこういった演習を宣伝することには、イスラエルとはまた別の重要な目的がある。これを米マスコミが大々的に取り上げる理由は、新たな侵略戦争にのめり込むための布石を米国民に準備させようとするものだ。

 米共和党とその推定大統領候補ジョン・マケインが大統領選挙戦術で使用する本質的な議論は、これまでの共和党の主張と変わらず『テロ』である。これまでも共和党は、ほぼ7年間にわたり一貫して、2001年9・11のゲリラ戦を口実にした、いわゆる「テロに対する世界規模の戦争」を、ブッシュ政権の政策の枠組みの中心としてきた。

一般的に、共和党は今年11月の大統領選挙で壊滅的な敗北を喫すると予測されている。共和党はこれを打開するために、いつもの『テロ・カード』を使って米国民を恐怖に陥れ、挽回をはかろうと画策しているという見方がある。

6月23日のフォーチューン誌のインタビューで、「米経済に対する最大の脅威」とは何かを尋ねられた時、マケインは失業でも金融システムの崩壊でも高騰する石油価格でも膨大な貿易赤字でもなく、新たなテロの脅威を上げている。彼はその質問に対し、「決定的に深刻な脅威は、我々は極端なイスラム急進主義に対峙しており、もし彼らが優勢になればまさに我々の存在そのものを脅かすようになるということだと考えています」「アメリカ合州国に新たにさらなる攻撃が加えられれば、破滅的な結果がもたらされる可能性があります」と答えている。

一握りのイスラム原理主義テロリストが「優勢になり」、米国の「存在そのもの」を脅かすという発想に加えて、この発言は、マケインの共和党陣営が選挙キャンペーン中一貫して常とう句とする、あらゆる問題は全て「テロとの戦争」に帰着するといういつものワン・パターン化した論法が、ここでも明確に打ち出されている。6月24日に公表された、ブルームズバーグとロスアンジェルス・タイムスによる合同世論調査では、マケインはオバマに15ポイントの遅れをとっている。マケインにとってこの大幅な票差を埋め、挽回するための唯一のチャンスは、まさしく米国民を恐怖に陥れて彼に票を入れさせ、大統領に選出させるということである。

共和党副大統領ディック・チェイニーは、5月29日、マンハッタンでの一皿1000ドルのディナーの席上でのスピーチで、700人の共和党寄金者を前にテロをテーマにこう発言している。

「選挙のある年は、人に国家の安全保障についての本質的な問題を投げかけます。誰がそれぞれの前線でテロリストとの戦争を戦い、勝利することについて真剣なのか? そしてこれへ回答は非常に明快です。一方では、民主党のように、死活的に重要な監視法を無効にし、米国をテロの攻撃を受けやすい国にしようとする議会の代表がいます」「もう一方には、世論調査の結果がどうであろうと評論家が何と言おうと、指導者がテロとの戦争を戦う共和党があります」

チェイニーはさらにつづけて言う。

「9.11以降、我々の政権は国家の安全保障に関するたくさんの厳しい政策決定を強いられてきました。その結果、我が国の敵は力を失っています。私はテロリストらが9.11以降、楽な姿勢を取ってリラックスしているとは思いません。さあ、米国を再び01年、02年、03年、04年、05年、06年、07年、そして08年も攻撃されないようにしましょう。彼らは我々を攻撃したがっています。彼らはそれを計画しています。彼らはそれに着手しています。しかし彼らは失敗するでしょう」

チェイニーは8年間を数え上げたが、彼らが実際に「我々を攻撃したがっている」例については一つも挙げていない。事実上、この7年間にわたって政府が策定したテロ容疑者の起訴状は、策謀とされた証拠が全て情報提供者による情報に依拠しており、具体的なテロ策謀の証拠は一つとして存在していない。

同時にチェイニーは、イラクからの米軍の撤退は「米国の安全保障に甚大な影響を及ぼす」「テロリストの聖域」を現出させることになるとし、この5年にわたるイラクへの戦争と占領をさらに継続させるためにテロの恐怖を訴えた。

彼がテロリズムの恐怖を煽ることには明白な目的がある。この2008年選挙は、米国の支配層が今後の米国の対外政策を、特に中東に関してこのまま続けていくのかどうかに関しての激しい対立をめぐって闘われる。この対立が、ブッシュ政策に行き詰まりを感じている外交政策筋とウォール街双方が、民主党バラク・オバマを支持するという形で表われている。

これを打破するために、共和党マケイン陣営はくり返しテロの恐怖を引き合いに出し、民主党を「テロに柔軟姿勢」として非難し、民主党と世論をそそのかしてメディアと政策界内における議論を変化させ、「反戦」を支持する大衆意見を総崩れさせようとしている。

とは言え、テロの恐怖を絶え間なく強調することにより、その政治的なインパクトは次第に効力を失いつつある。この「テロ・カード」を選挙戦前夜において大衆を効果的に動員・扇動する手段として切るために、共和党は単なる口先の詭弁だけではないことをも必要としている。

4月29日ニューヨークでの講演で、共和党前下院議長ニュート・ギングリッチが、党が「真の災害的状況」に直面していると言い、議会が11月までに「大胆なコース」の見取り図を描かなければ、議会で「決定的な損失」を被ると語った。その後聴衆の一人から、なぜ9.11以降に攻撃がないのかという質問を受けた時、彼はその理由はわからないが、それが党が抱えている政治的な問題の一つなのだと示唆した。(10)

「これは、ブッシュ政権の大きな悲劇のうちの一つなのだ」 

ギングリッチは明言している。

「悪い人間を引きとめたり取り押さえたりすることに成功すればするほど、我々が危機にあるという証拠などないということがますますはっきりしてしまう。そしてそれゆえ、攻撃などは画策されてはいなく、そしてこう言うのをますます容易にしてしまう。『まあとにかく、攻撃があるということはとりあえず考えられない』。だから、彼らは時として、我々にテロの可能性はあるのだということを思い起こさせるために、そういった攻撃を許されてもよいかもしれない」

彼の不用意な発言は、ブッシュ政権と共和党上層部の思考と論議を垣間見させる。そこで示されている論理は明白だ。それは、米国土にまた大きな攻撃があったとしたら、それは米国民にテロリズムの決定的な脅威を「思い起こさせ」、そして最もタカ派で強硬に反テロを叫ぶ候補者に票を入れるという政治的なショックを与えるであろう。

この共和党前議長の短いコメントは、身も凍るような質問を喚起する。現政権はマケインと共和党が選挙でぶざまに敗退することから逃れる手段としての10月の衝撃、「オクトーバー・ショック」を画策しているのだろうか? 彼らはテロ攻撃を画策し、多くの米国民の命を喪失させるという選択を検討しているのか?

ブッシュ政権は史上例のない、侵略戦争と人権侵害、違法投獄、拷問と暗殺を遂行している戦争犯罪内閣である。ギングリッチの「我々にそのことを思い起こさせるために、そういった攻撃を許されてもよいかもしれない」という発言は、こういった疑惑を引き起こす。それが彼らが9.11発生時にしたことだったのか? 彼らがそれを画策し、実行し、それを理由にして、何百万人もの生命を奪う二つの侵略戦争を始め、その後の反動的政策を遂行するための正当性を作り上げたのか?

今年で9.11攻撃から7年目を迎えるが、あの日の悲惨な出来事は依然として多くの謎に包まれている。米高官の誰一人として、表面上、あの惨劇を許してしまったという米史上最大の失敗、しくじりの責任を問われていない。議会と9.11委員会による正式な調査は、政治的に意図されたたくさんのもみ消しと隠ぺいを明るみに出している。そして9.11攻撃は、長期的な米国の戦略目標を遂行するための軍事行動に着手するための必要不可欠の口実をもたらし、政権と軍需その他の産業は、米国家機構の最高レベルの防衛策を直ちに準備しその成果を満喫している。

大統領選挙に至るこの数カ月の間に、米国かイスラエルのイランへの空爆、あるいは何らかの形態の無謀な軍事行動があるとしたら、それを一番欲しているのは、アル・カイーダでもイランでもシリアでもない。この史上最大の国内外の危機に見舞われた帝国機構は、国内では国民を混乱させて社会の不穏な状況に対する不満を抑圧し、対外的にはますます戦争と挑発外交という方策に向かっているように見える。

戦争に対するオバマのスタンス

ヒラリー・クリントンと民主党内での候補者指名選を争っていた予備選時、オバマは好戦的な彼女との違いを際立たせるために反戦的な姿勢をとり、イラクから米軍を撤退することを公言していた。

米国民の反戦の声は大きい。ブッシュがイラク戦争に着手する前夜の2002年10月、ヒラリーはこの戦争に賛成票を投じて政権に承認を与えたが、それが後の彼女の立場を決定的に不利にした。ヒラリーの誤算は、米国の軍事力を過大評価し、イラン人民の広範なレジスタンス闘争を看過したことと、米国民と世界があげる戦争反対の声を過小評価したことである。

とは言え、オバマも決して戦争反対を言うわけではなく、真の意味で「反戦」キャンペーンを張ったわけではなかったが、彼はイラク戦争は「一度も容認されたわけではなく、決して開戦されたわけではない」とくり返し、ヒラリーとブッシュを常に結びつけてイラク戦争に対する大衆の敵意を煽るというやり方で国民の感情に訴えていた。そして正式な民主党指名候補となった今ますますはっきりしてきたことは、例えばオバマが言うイラクからの撤退の具体的な内容は、常に「テロに対抗するため」の作戦と米国の利害を守るために主要な部隊は残すというものであり、米軍の「即時撤退はしない」ことをくり返し表明している。すなわち、彼の米軍を帰還させ戦争を終結させるという公約は、米軍を「米国の利益」の保護と「テロ根絶のための任務」、すなわち何万もの米兵と海軍によるイラク占領を継続し、今後何年間も国民を抑圧するという方策を遂行するためにイラクに駐留軍は必要という彼の言辞によって制約されている。

6月3日夜にミネソタ州セント・ポールでのスピーチで、オバマはライバルとなる共和党候補マケインを、イラク政策に関して「前踏のコースを継承する」と批判したが、彼の批判点は愛国主義的な言い回しに終始していてそこから一歩も出ず、真に「戦争を終結させる」ことを訴えてはいない。彼は、このイラク戦にかかった米国側の費用について言及したが、それをはるかに凌駕する、米国がイラク人民に与えた、イラクという機能していた一個の社会を事実上破壊した侵略と占領行為がどれだけの費用であるかについては全く語ろうとしない。 (11) 

さらにオバマは世界における米国の立場と位置を復活させるべきという目的を断言した。

「我々は再び勇敢に、確信をもって自由世界への道を進まなければなりません。これはルーズベルト、トルーマン、そしてケネディの残した遺産です」

 すなわちこの三者は、米国を第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争へ導いた民主党大統領である。

オバマはこの米軍事主義を復権させ刷新するという主張を、6月4日朝のスピーチでもくり返した。彼は決してハマスや、その他のイスラエル国家を認めることを拒否するイスラムや民族主義グループとは交渉しないということを宣言した。

                                                         「テロ組織と交渉する余地はありません」
「これに関しての批判はありますが、私は単に話すためだけに我々の敵対者と同じテーブルに着くことには全く興味がありません」

イランに関しては、ブッシュ政権のイラク戦争政策が、イランという中東でのイスラエルの最大の強敵を強化させてしまったという理由で非難した。

「イランの脅威は甚大であり、これは事実です。そして私の目的はこの脅威を軽減させることです」
「私はイランが核兵器を所有することを、あらゆる、全ての手段を取って阻止します」 

その集会に出席したトロント・グローブ・メールの特派員は「オバマ議員はほとんどマケインや現大統領ブッシュと同様タカ派であるようだ」と言及し、評論家のジャスティン・レイモンドは「イスラエル・ロビーに屈服したオバマ」と題した記事で、「オバマについて、私は全く間違っていたと言わねばなるまい」と書いている。(12)

6月16日夜、デトロイトのジョー・ルイス・アリーナでのスピーチでもオバマは、冒頭、アフガン戦争を「我々が勝つべき戦争」と表現し、アフガニスタン占領やブッシュいわゆる「テロに対する戦争」など、米国の軍事主義に反対してはいないことを明言している。

「私たちの国は事実、二つの戦争を遂行している。一つはアフガニスタンでの、9月11日に我々を攻撃した無情な殺人者、アルカイーダとビン・ラディンに対する戦争で、我々はこれに勝たなければならない。もう一つはイラクに対する戦争で、これを正当と認めるべきではなかったし始めるべきではなかった。この戦争は我々に何千もの命を犠牲にさせ、何10億ドルもの費用を負担させ、そして我々を安全にはしなかった」 

国内と国際的、両方の米国機構の利害を守るという枠組内を決して外れず、オバマは共和党の政策に戦略的な修正案をほどこした施策を提言する。国内産業の前線に関して、オバマは税制の緩和策と政府の援助によって米企業の世界に占める位置を改善することで、「ウォール・ストリート」ウォール街の利害を「メイン・ストリート」、すなわち一般労働者の利害と一致させることができるという幻想を振りまいている。

イラクへの侵略と占領は戦略的には大失敗であり、中東及び国際的な米帝の利益を回復するには大幅にその態度と人員を変革する必要があると考えている米国支配者層がオバマを支持している。この部分の層は、軍事行動を起こすことにそれほど反対ではないが、単細胞でイラク戦に軍事力で勝利することだけに固執しているブッシュ政権を、愚かで浅はかで思慮が足りず究極的に大破産を引き起こすと見なしている。彼らは、米国最初のアフリカ系アメリカ人大統領を選出するということが、米国内でも国外でも、米国の民主的な権威の回復という幻影を呼び起こすかも知れないという象徴的な効果を期待している。オバマの候補選出が事実上確定してくるにつれて、支配者層と一体となったマスコミはそういった幻影をばらまくのに過熱していった。テレビのネットワークは米史上はじめてアフリカ系アメリカ人が二大ブルジョワ政党の一つに大統領候補にあがったことを米民主主義の偉大な到達点を達成したとして美化し持ち上げ、大統領選勝利への道を敷いている。

疑いなくこの幻影は、アフリカ系を初めとする少数民族と全人種の学生間だけではなく、ブッシュ−チェイニー政権の8年間にわたる対外戦争の記録、社会の崩壊と反動化に怒りを持っている層に現在広く行き渡っている。しかしここで見落としてはならないことは、オバマの立候補と11月の大統領選は、肌の色がどうとかいうことだけで判断されてはいけないことだ。マスコミと民主党支持者らの扇情に関係なく、ヒラリーが全ての女性の立場を代表しているより以上にオバマが黒人とマイノリティを代表しているとは言えない。

オバマの対外政策に関する最初の主要なスピーチは、2007年4月23日にシカゴで行われた。その中でオバマは、現在年7000億ドルに達し、さらに際限なく上昇を続ける米軍事予算を削減しないと公約しており、さらに6万5000人の兵士を募集し、海軍にも2万7000増兵するべきだとしている。つまり彼は、ブッシュ政権が中東と中央アジアの産油地域をカバーし支配する米のヘゲモニーを確立するための侵略を正当化するための口実としてでっち上げた「先制攻撃」、こうして正当化した「テロに対する戦争」のために「さらに多くの海軍新兵」を公約している。(13)

オバマが言う『変革』とは、イラク・アフガニスタン戦争を終結させることも、米軍事主義を終焉させることも意図してはいない。オバマが11月の大統領選挙に勝利しても、この5年間続いた殺戮と占領が終わるという見込みは薄いと言わざるを得ない。

 

2 国内政策――金融危機と失業問題は、解決するのか?

 

「アイデンティティ・ポリティクス」

2008年の米大統領選挙は「歴史を画す」ものになると言われている。民主党候補は初めて黒人のオバマと女性のヒラリー・クリントンになった。流血のイラク侵略戦争、アブグレイブその他での拷問スキャンダル、不況の勃発、住宅差し押さえ、史上空前の失業率、組合つぶし、市民権迫害のエスカレーション――ひどく嫌悪されたブッシュ政権の末期が近付くにつれて、人々の『変革』への期待はますます高まっている。

ヒラリー・クリントンは正式に候補者戦を降りることを表明し、オバマの候補者選出を応援する6月7日の演説でアイデンティティ政治に触れ、観衆の熱狂的な賛辞を受けた。そのスピーチは民主党とマスコミにも共に熱烈に歓迎され、翌日のヘッドラインに反映された。(14)

その28分間のスピーチで、クリントンは自分の選挙戦を女性の権利の先駆的な努力であると表明し、最終的な目標には足りなかったものの、前進の一歩を行く代表だとした。

「私たちが今日ここに集まったように、もし私たちが50人の女性を宇宙に打ち出し、頭上で軌跡を描いて旋回することができれば、私たちはいつの日か女性をホワイト・ハウス入りさせることも可能でしょう」

同時に彼女は、オバマの立候補も同様な変革であったとしてほめ称えた。

「私たちが最初に選挙戦に立った時、どこでも同様な質問を受けました。女性が本当に最高司令官として職務を遂行できるのか? 私たちはそれに答えたと思います。アフリカ系米国人が本当に我々の大統領になれるのか? そしてオバマ上院議員はそれにも答えてきたと思います。オバマ議員と私は共に、私たちのよりパーフェクトなユニオン、団結と連帯を形成する果てしなく絶え間のない義務の一環である、国にとって本質的に重要な里程標を打ち立てました」

オバマはそれにこう応えている。

「私はクリントン議員の支持を受けてわくわくし、栄誉に思っています。しかしそれ以上に、私は彼女が今日勇敢で価値ある歴史的な選挙戦でのたたかいを担ってきたことに敬意を表したいと思います。彼女は私の娘たちを初めとする全ての女性のためにバリアを粉々に打ち砕きました。そして今彼女たちは、自分の夢に何の制限もないのだということを知っています」

クリントンの露骨なフェミニズム主義の取り込みと、政治をその本質ではなく、肌の色や性別や人種がどうであるという「アイデンティティ・ポリティクス」で理想化して語ろうという目論見は、メディアの無批判な精神と体質によってマスコミ上でもそのまま反映されている。

6月4日のネイション誌は、こう賛辞を贈る。

「オバマにとって、民主党にとって、米国の経験にとっての歴史的な瞬間であった。この国が建国されてから初めて、主要政党がアフリカ系アメリカ人を大統領候補としてノミネートしたのだ」(15)

6月7日のニューヨークタイムズのコラムニスト、ボブ・ハーバートの「この瞬間を満喫しよう」と題された論評はこう言う。 

「人種差別と性差別はまだ去ってしまってはいない。しかしバラク・オバマは民主党のほぼ確実となった候補者であり、このレースに残った最終候補の二人は黒人と白人の女性であるという事実は非常に重要な歴史的出来事なのである。われわれはこの目覚ましい瞬間を見過ごしてはいけない」

そしてこう結論する。

「私たちはオバマ議員が大統領に選出されるかどうか見守ることになる。しかし選出されようとされまいと、この瞬間は米国が誇りを持つことができ、そして社会はこれを基礎に建設されうる瞬間である。勝利の肩掛けの準備は整っている。それはまだオバマ議員のものと決まったわけではないが、それは人生のそれぞれの位置で憎しみと抑圧に屈服することを静かに拒否してきた我々全てのものである。彼らは私達をより良い場所へ導いてくれるであろう」

彼が言う「より良い場所」とはいったい何なのだ? 公然とした人種・民族・女性差別は減ったかもしれないが、しかし最も根本的な観念や意識下において、階級的・経済的観点からみれば、米国はどの時代と比較してもこれほど不公平が拡張された時代はなかったのではないか?

現在の米国社会ではトップの1%の人口が45%以上の富を独占支配している。そのさらに10分の1が過去20年にわたって増大した国富のほぼ全部を独占し、その一方大多数の人口は生活水準の悪化、雇用の不安定化、社会的なポジション総体の不全さにさらされている。

黒人労働者と若者にとって、事態は急を要しますます断崖絶壁に立たされている。よく知られ、言及される数字は――刑務所に入っている黒人の若者は、大学に行っている者よりも多く、都市部の学校その他の社会サービスは崩壊し、貧困レベルは1960年代初期の数字に近づきつつある。失業者の不均衡なレベル、ドラッグ中毒、暴力、ホームレス、その他の社会の様々な害悪。

人種に対する偏見と理想的な政策の一致は、偶然になされたものではない。所得の再分配と社会の不公平を是正すべき経済政策を放棄し、人種と民族、性差、性向や性癖に焦点を置くアイデンティティ・ポリティクスに傾斜することの核心にある真の目的は、貧困、搾取、抑圧といったより根本にある社会的経済的な発生のメカニズムから関心をそらさせることである。ヒラリー・クリントンとオバマが二大政党の一つに正式に認められた大統領候補に立つ最初の女性でありアフリカ系米国人であるとして人種・民族と性差を固定化することは、米社会の民主的な性格を特徴づけ象徴するものとして大衆の幻影を掻き立てるために大いに利用されることは必至であり、ここで看過されている本質的な問題は、米社会の階級の分断である。

黒人と低所得層の白人、移民を団結・連帯させるのは、彼らが肌の色や性別などの漠然とした方法で差別されているとか尊敬を払われないとか犠牲にされているとかいうことではない。彼らを結びつけるのは、彼らは彼らの労働が社会の全ての富を生産し、資本の所有者という違う階級から所有権を奪われ搾取されているという同じ労働者階級の階層であり部分であるということである。

ウォール街とのつながり

正式に民主党大統領候補となったバラク・オバマは、危機的にがんじがらめの状況にある米国経済に焦点を合わせ、雇用の減少と失業の増大、ガソリンの高騰、住宅差し押さえ、拡大の一途をたどる不公平などを非難する一連のスピーチを始め、総選挙キャンペーンに着手した。この言辞の大部分は予備選間の、ヒラリー・クリントン議員との選挙戦で中心に据えた、彼自身は政治的にはアウトサイダーであって、「特殊利益」とロビイストによって左右され決定されるワシントンの政治的風土と慣行を破壊することを決意しているという同じテーマをそのままくり返している。彼は6月9日、ノース・カロライナでのスピーチで、大統領として聴衆にこう確約し、聴衆の喝さいを浴びた。

「CEO、企業の経営責任者らが一方の手で年金をごみにし、もう一方の手でボーナスをかき集めることをできないようにします」。 (16) 

その一方、ウォールストリート・ジャーナル紙が6月7日に、オバマのメイン・アドバイザーであり副大統領調査チームの長ジェームズ・A・ジョンソンの金融スキャンダルをスクープし、一連の報道を噴出させた。その内容は「神技的ワシントン・インサイダー」と評されるジョンソンが、米国最大のサブプライムローンの売買業者であり、何万件もの住宅差し押さえに直接責任があるカントリー・ワイド社から、インサイダー取引により何百万ドルも受け取っていたという事実である。(17)  ジョンソンはこれにより6月11日に辞任したが、オバマ陣営はこの影響を最小限にしようと努力し、彼は党内の大して重要な地位にはいなかったと宣伝している。とは言え事実は、この民主党のインサイダーは、30年間にわたって党内におり、2004年選挙でジョン・ケリー上院議員が候補に立った時も彼のアドバイザーとして同じ役割を果たしている。(18)

ジョンソンの突然の退陣に際して、オバマ陣営は新たな補佐官としてジェーソン・ファーマンを選出したが、この人物も大いに問題ありである。ファーマンはこれまで、前クリントン政権の財務相で現シティ・グループ経営者であるロバート・ルービンに設立されたシンク・タンク、ハミルトン・プロジェクトのディレクターであった。このプロジェクトには民主党の銀行家、企業経営者、主要なウォール街ヘッジ・ファンドの頭目が関わっているが、彼らが公式に目的としていることは、財政不均衡の是正、「実効性のある改革」の促進、すなわち社会保障や高齢者医療保障などの基本的な社会プログラムを大幅に削減することで政府歳出のバランスを図ることである。

オバマがファーマンを選出したことは、ビル・クリントンが15年前にルービンを彼の経済政策担当官として任命したことと同様、ウォール街にはっきりとしたメッセージを発している。そのメッセージとは実質賃金の減少や、雇用と大衆消費の社会的状況を是正する方策を取るという曖昧な公約であり、その一方現実の経済政策は米国の金融独裁政治の利害に沿って敷かれるということである。ルービンがクリントン政権時代の経済政策担当官としての6年間に残した遺産は、株式市場を史上例を見ないほど高揚させて米社会トップの数パーセントを裕福にし、その一方社会の大多数の状況を、企業のダウンサイジングの連続、実質賃金の停滞、既存の社会保障プログラムの大規模削減により悪化させたことである。さらにオバマは主任経済政策ディレクターとして、シカゴ大学の教授で著名な自由主義経済の信奉者、オースタン・グールスビーを任命している。(19)

労働組合AFL-CIO議長ジョン・スィーニーはこれらの人事に反対する声明を出している。

「何年もの間我々は企業が民主党に及ぼす影響に対して強い懸念を表明してきた」
「事実は、米国の経済政策はウォール街の議題に左右され圧迫されてきたし、そのことが労働者階級の痛みの真の原因を引き起こしてきた。そしてこれが、我々がオバマ上院議員に考慮いただきたい一番の問題である」
 

政界、金融界からの多額の寄付金 

すなわち、若者と大衆向けの空疎なレトリックは彼の顔の一面に過ぎない。他の顔は、彼が公には批判してやまない、まさに何千ドルも彼の選挙運動につぎ込む企業の利益の方をしっかりと向いている。

ビジネス・ウィーク誌が「オバマは企業にとって良いものをもたらすのか」という特集を組んだ。これに対する直接の答えは提示されてはいなかったが、このビジネス誌がとったスタンスは、オバマは公には『変革』を言うものの、ウォール街のトップと企業のインサイダーを容認し擁護しているというあまり公には語られない事項を考慮した結果、答えはほぼ「イエス」のようである。 (20) 

同記事は、次のように言う。メイン州での民主党党員大会でのオバマの勝利が決定した後、オバマはコンピュータの前に座って彼に札束を供給するウォール街の主要な立役者の一人であり、彼が言う「ムーブメント」なるものに金銭を出す他の億万長者から何百億ドルもの資金を集める責任者であるUBSアメリカのCEO、ロバート・ウルフとeメールを交換する。政治献金の市民監視団体(CRP)によると、昨年オバマ陣営が集めた基金の8割は企業からの献金で、その大部分はウォール街の金融大手である。その金の半額以上は、寄付金という形態で、総額2300ドル以上である。(21)  

ウルフの他、オバマは今年ビル・ゲイツを超えて米国で個人として一番の金持ちとなった億万長者の投資者ウォーレン・バフェットとも一定の親交があり、彼からおよそ520億ドルを受け取っている。右翼の大物、レーガン政権時の経済アドバイザーであったラリー・カドローも、2月初頭にオバマ支持を表明した。中でもオバマの最大の寄付金供出者の一人は、ヘッジファンドの若い創立者・社長で億万長者のケン・グリフィンである。

オバマを財政支援する中で恐らく最も影響力を持つ人物は、1979年民主党ジミー・カーター政権時に連邦準備委員会議長を務めその後もロナルド・レーガン右翼共和党政権の下でほぼ7年にわたって米中央銀行に残留したポール・ボルカーである。ボルカーはインフレとの闘いという名目で、支配的な金融資本セクターの要求通りの高利益政権を発足させた立役者である。彼の金融政策は労働者への攻撃と不可分であり、ストに起った航空管制官の大量解雇とPATCOのスト破りを手始めに基本的な産業を大規模に解体し、1930年代の世界恐慌以来最悪の経済不況を引き起こした。この政策の究極の効果は労働者階級の富を一握りの金融エリートに大規模に還流させるシステムを敷設したことで、この過程は現在も引き継がれ残存している。

オバマへの支持表明演説の中で、ボルカーは「状況の変革のためには新しいリーダーと新しいアプローチが必要である」と言い、オバマのリーダーシップは「我々の展望と将来の見通し、偉大さに対する世界的な信頼を回復する」ことができるとして締めくくっている。

 

「ウォール・ストリート」と「メイン・ストリート」間の綱渡り 

つまり、オバマが公に表明する政治政策が明らかになるにつれてはっきりしてきたことは、オバマ陣営が政治的に非常な緊張状態にあるということである。一方では限定された理想像に関する大衆主義的言辞をあげ、他方では企業アメリカとウォール街に完全に受け入れられる政策を提示している。彼は健康保険もなく記録的に高騰するガソリン価格を支払う失業者に対する同情の念を口にはするが、過大な給与を受け取る企業経営者やヘッジ・ファンド操作人、投資銀行やコモディティへの投資者ら、この状況を作り出している金融寄生虫の責任へ対する敵意を微塵も見せることは決してない。

そういったビッグ・ビジネスとの親密な結びつきを考えると、貧困と社会の不均衡に対峙していくというオバマキャンペーンでのレトリックにはまさに綱渡り的な、動揺する皮肉とアイロニーが混じっている。彼が絶え間なく叫ぶ『変革』という公約は、巨大企業とウォール街の利益システムの根本的な変革という経済プログラムとは何らの関連はない。社会の富と生産力を一握りの民間・私企業が所有していることと、それがこの計り知れない社会の不均衡を日々再生産していること、これを『変革』し、何百万米国人の雇用と生活水準の保護、適正な住宅の権利、健康保険と教育を実現することは、富の一握りの独占者から幅広い働く者への広範囲に及ぶ遠大な再分配プログラムを通してしか実現され得ないであろう。そしてウルフやバフェット、ボルカーらは明らかにオバマがそういった政策をまったく実現するつもりはないであろうことを見越し、理解した上で彼を支持している。     

米企業とウォール・ストリートの利益と、メイン・ストリート、すなわち一般労働者の利益を調和させることは不可能である。もしオバマがホワイト・ハウス入りするとしても、他の莫大な企業献金を受けているそれぞれの政治家らと同様、ビッグ・ビジネスを擁護して、深まる米国の金融危機を一般労働者に肩代わりさせるだけである。 

ボルカーがオバマへの支持表明演説の中で表明しているように、彼らは明らかに、米国最初の黒人大統領となるオバマは、継続する経済危機と高まる社会の不穏、不安定と緊張状態という危機に対決していくのに最も適した人材であると見なしている。彼以外の誰が、国民の団結、連帯と『変革』の旗のもとに、労働者にさらなる多大な犠牲を要求することができるだろうか? 同時に彼は世界に、ブッシュ政権が残した外交政策の大失敗、世界で孤立を深めていく様相から米国を救済・解放する新しい顔を代表することができる。そしてある意味ではこれがオバマ・キャンペーン総体を貫く本質である。彼は自分自身を、政治に関するその卓越した弁舌と多様な人種的バックグラウンドによって国内と国外で少なくとも一時的には米国の威信を回復できる大統領として、米支配者階級に提供しているのである。

 

3 オバマで世界は変わるのか?

 

 それが実際に何を意味するのか曖昧な『変革』という言葉と、若い世代へは理想主義を不断にまき散らしながら、オバマ・キャンペーンは大きな支持を惹きつけている。ほぼ8年にわたるブッシュ政権の下での戦争と社会的反動の中で、『変革』というアイデアは大人気を博している。しかしオバマは、決して社会の矛盾を体系的、制度的な不公正、不平等の社会秩序の産物であるとは見なさない。その代りに彼は利益追求主義などの過度の不節制や強欲さなどに転化している。彼の国内政治政策において、彼は企業エリートの利害の脅威となるような発言は絶対にしていない。将来彼がトップに立った時、住宅ローンのいかさま師やイラク戦の利益享受者などの頭目のうち何人かが責任を問われることはあるかもしれないが、それは単に『変革』という幻影を多少流布するだけのものだろう。

米産業は、これまで労働者の生活水準を悪化させ雇用を大幅に削減することでその競争力を維持してきたにすぎない。現在、何百万もの労働者が住宅差し押さえ、雇用と生活水準の悪化、ガソリン価格と食料品、他の生活必需品の絶望的な高騰に直面している。これらは全て世界中の一般市民と労働者の必要性を、企業と金融エリートのための常に拡大する利益の要求に従属させる経済的政治的体制が破産し崩壊したという宣告である。

米支配者層は、オバマは一般労働者の生活状況を改善するためではなく、米国の金融資本の世界的な利益を安全に確保するための効果的な大きな変化をもたらすのに利用できる媒体であると見なしている。結局、民主党は、ブッシュ政権の対外での戦争政策、国内での社会的反動政策遂行のためにぴったり合ったパートナーを差し出したわけである。オバマが大統領に就任することは、これまでの戦争と抑圧の米国政策からの根本的な決別を意味するわけではなく、むしろそれを新たな形態で継続するということである。

彼が11月、ホワイトハウスでの位置を獲得したとしたら、彼が率いる政権は国内外において米国少数独裁政治体制の利益を防衛することに専心するであろう。オバマキャンペーンが米国の効果的で前進的な社会変革プログラムを施行し、対外軍事戦略を終わらせる方向転換でありその媒介になると見なす人たちは、民主党と企業と彼らが代表する金融的利害はそのどちらも許さないことを早晩知ることになるであろう。来るであろうオバマ政権はブッシュの政策をこのまま、あるいはもっとエスカレートした形で継承する可能性は非常に高いと言わざるを得ない。

とは言えこの戦争と占領政策の継続は、イラクでも米国でも大衆の承認を得てはいない。イラクで最近行なわれた世論調査によると、イラク人口の四分の三が米軍に国を出て行ってほしいと考えており、米国が安全保障を回復するとしているのは四分の一以下である。米国で連続的に行われる意識調査では、軒並み三分の二が戦争に反対し軍を撤退すべきという結果が出ている。結論を言えば、増派も戦争総体も決してイラクに安定をもたらさないということである。社会の破壊と殺戮は不断の不穏と不安定をもたらし、必ずイラク総体の大規模な反撃を引き起こすだろう。その一方、米国そのものの内部でも、1930年代以来の大不況の到来という状況の中で何百億ドルという戦費がこの戦争に使われている。労働者が必要としていることは、すなわちまともな給与、健康保険、教育、住宅、そして戦争のない社会であり、それは個人の利益のための利己的で破壊的な衝動によって形成されてきた歴史を克服することである。それを導く本質は、社会的平等、貧困の撲滅、人類の生産的な源泉の意識的・合理的な使用を通しての生活水準の上昇のためにたたかうことでなければならない。それは必ず大規模な社会騒乱を引き起こすであろう。

1930年代の大恐慌と世界大戦前夜、『変革』を望む大衆がヒトラーに投票した。私たちはニセの救世主を探し求めたり、しがみついたりしないで、真正面から現実に対処しなくてはならない。

 


(注解)

 

(1)http://www.youtube.com/watch?v=0cOJNC2EuJw Barack Obama at AIPAC    June 4, 2008, Barack Obama spoke to the American Israel Public Affairs Committee in Washington, DC

(2) http://www.nytimes.com/2007/11/01/us/politics/02obama-transcript.html?ref=politics&pagewanted=print "Interview With Barack Obama," New York Times (Nov. 1, 2007) 

(3)http://edition.cnn.com/2008/CRIME/06/25/scotus.child.rape/index.html#cnnSTCText     Child rapists can't be executed, Supreme Court rules  June 25, 2008 CNN Supreme Court Producer 

(4)http://www.barackobama.com/index.php  Barack Obama | Change We Can Believe In       Official Website of Barack Obama 2008 Presidential Campaign

http://www.thecarpetbaggerreport.com/archives/15945.html  Obama announces support for FISA's compromise June 20th, 2008

(5)http://www.nytimes.com/2008/06/20/washington/20iran.html?scp=1&sq=+F-15+and+F-16&st=nyt。 U.S. Says Israeli Exercise Seemed Directed at Iran June 20, 2008 New York Times

(6)http://www.defensenews.com/ Mullen Heads to Israel with Iran on Agenda

(7)http://www.cbsnews.com/stories/2008/06/20/eveningnews/main4199459.shtml?source=mostpop_story Ominous Words From Israel。。Is Israel Poised To Attack Iran?。。 June 20, 2008。 After Warplane Drill, Ambassador Tells CBS News "Israel Will Not Tolerate A Nuclear Iran"

(8)http://www.cbsnews.com/stories/2008/06/20/eveningnews/main4199459.shtml?source=mostpop_story  June 20, 2008  CBS Evening News  Is Israel Poised To Attack Iran?         After Warplane Drill, Ambassador Tells CBS News "Israel Will Not Tolerate A Nuclear Iran"

(9)http://www.reuters.com/article/newsOne/idUSL2147745920080622 Leaked Israeli drill seen as U.S. pressure on Iran, June 22, 2008

(10)http://www.dailymotion.com/country:fi/video/x5lmje_newt-gingrich-bush-should-allow-rem_news Newt Gingrich: Bush should allow "reminder" terror attacks April 29 2008, Newt Gingrich on CSPAN

(11)http://www.barackoblogger.com/ Remarks of Senator Barack Obama Final Primary Night Barack Obama Is the Democratic Nominee June 3rd, 2008 St. Paul, Minnesota

(12)http://www.antiwar.com/justin/?articleid=12944 "Obama Capitulates to the Israel lobby," Antiwar.com (June 6, 2008).。。

(13)http://www.youtube.com/watch?va2r9rsewVRg Senator Obama addresses the Chicago Council on Global Affairs on April 23, 2007.

http://en.wikisource.org/wiki/Remarks_of_Senator_Barack_Obama_to_the_Chicago_Council_on_Global_Affairs

 Remarks of Senator Barack Obama to the Chicago Council on Global Affairs23 April 2007

(14)http://www.nytimes.com/interactive/2008/06/07/us/politics/20080607_CLINTON_GRAPHIC.html# FEEDBACK Clinton Endorses Obama。。June 7, 2008 Interactive video and transcript of Hillary Rodham Clintonユs speech in Washington

(15)http://www.thenation.com/blogs/thebeat/326501/obama_clinton_and_what_has_been_achieved  Obama, Clinton and What Has Been Achieved 06/04/2008

(16)http://barackobama44thpresidentofusa.blogspot.com/  June 9, 2008             Barack Obama's "Change that works for you" economic plan for the 21st Century !        Today is the first day of Sen. Obama's two-weeks "Change that works for you"

(17)http://online.wsj.com/article/SB121314375651462773.html  Friends of Barack

Wall Street Journal  June 11, 2008; Page A22

http://blogs.marketwatch.com/election/2008/06/11/obamas-vp-picker-steps-aside-amid-mortgage-controversy/   Obama's VP picker steps aside amid mortgage controversy Russ Britt, June 11th, 2008

(18)http://www.inboxrobot.com/newsletter.php?brief_name=Fannie+Mae&brief_id=3458&offset=500

(19)http://www.thenation.com/doc/20080630/klein 

Obama's Chicago Boys, Lookout  June 30,2008 THE NATION

(20)http://www.businessweek.com/bwdaily/dnflash/content/feb2008/db20080212_645487.htm?chan=search  Special Report February 13, 2008  Is Obama Good for Business? BusinessWeek

(21)http://opensecrets.org/estore/catalog/index.php?cPath=24。。                    the Center for Responsive Politics