ブッシュ大統領は、昨日、大量破壊兵器を開発している国はアメリカのテロリズムに対する戦争の目標になるかもしれない、と無骨な調子で個人的な意見を述べたが、そのことによって、将来のイラクに対する軍事攻撃を正当化する新たな根拠を提起した。
ブッシュは、日曜日に始めて地上部隊が派遣されたアフガニスタンにおいては、まだたくさんの仕事が残されていること、オサマ・ビン・ラディンやその他の9月11日の事件において悪事を働いてきた者を洞窟から洞窟へと捜索する際には死傷者が出やすいこと、また「今は非常に危険な時期である」と述べた。
しかしブッシュは、ローズ・ガーデンでイラクが目標になるかどうか尋ねられたときには、「アフガニスタンはまだ始まったばかりなのだが……もし、貴方が世界をテロ攻撃しようという大量破壊兵器を開発したならば、貴方は対象になるだろう」と述べた。
ホワイトハウスの報道官アリ・フライシャーは、大統領のコメントは「長期的なアメリカの政策を言い直したものだ」と述べた。9月11日の事件以降、何人かのブッシュ政権のアドバイザーはイラクに対して攻撃的なスタンスをとっているが、政権内部ではアフガン以後の戦争目標について意見が分かれているようである。
サダム・フセインイラク大統領は、1997年以来、化学兵器、生物兵器の国連による査察を受け入れてこなかった。アメリカの当局筋は、衛星からの写真と諜報機関の報告によれば、フセインは化学兵器、生物兵器、核兵器の追求を続けている、と述べてきた。
「サダム・フセインについて言えば、彼は査察官をイラクに入国させ、彼が大量破壊兵器を開発しているのではないということをわれわれに見せる必要がある」とブッシュ大統領は述べた。
査察官の入国が拒否された場合にどうなるかと尋ねられて、ブッシュ大統領は、「彼はわかっているだろう」と述べた。
また、大統領は、北朝鮮は武器の査察を認める必要がある、「我々は、北朝鮮と討論をしてきた。われわれが北朝鮮と国交を持つためには、貴方がたは大量破壊兵器を開発しているのかという質問に北朝鮮は答える必要があるし、北朝鮮は大量破壊兵器の拡散をやめる必要がある、私は北朝鮮に対しこのことを明確にしてきた。」と述べた。
元陸軍大佐で、国際戦略研究センター(CSIS)の上級研究員であるケネス・アラードは、政権関係者はイラクに対する不満を公にすることは禁じられていたが、今は「将来の見通しを述べることも許されている」と述べた。
アラードは、「政権関係者は、手に余る仕事を抱えないように注意深くやってきたのだ。イラクがテロの脅威の源であること、準備が整うまでイラクに対する攻撃を彼らが口にしないであろうことは明白である」と述べた。
9月20日の議会に対する演説の中で、ブッシュ大統領は次のように述べた、「テロリストの滞在を認めたり、テロリストを支持するすべての国は、わが国に敵対するものとみなされるであろう。」10月30日には、彼はもっと明確に次のように語った、「テロリストに食料を与えたり、隠れ家を提供したり、資金を融通したりした者はすべてテロリストと同様にアメリカ人民に害をなすものと認められる。」
ブッシュは昨日、たとえばイラクというように、大量破壊兵器を所有している国を名指ししたわけではない。しかしながら、彼は「私に関する限り、明確な目標を持ってきた」と述べている。
最近の政権関係者のイラクに対する発言の口火を切ったのは、11月18日のCNNでのコンドリーザ・ライス国家安全保障担当補佐官であった。彼女は、アメリカはフセインを監視しており、「我々は、いずれこの問題を処理しなければならない」と述べたのである。
ウオルフォウイッツ国防副長官は、水曜日の記者会見の中で、アフガニスタンがまだ中心問題であることを述べた後で、次のように述べた。「我々は、イラクが自らの能力という点においても、国際市場の取引という点においても、生物兵器、化学兵器、さらには核兵器を徐々に獲得しつつあるという大量の証拠を持っている。」
コーリン・パウエル国務長官は、昨夜のCNNの”ラリー・キングの生放送”の中で、フセインはブッシュの言明を「しらふの、しかもぞっとするようなメッセージとみるべきである」と述べた。
パウエルは、イラクは依然として危険であると述べ、次のように続けた。「彼らが大量破壊兵器の開発を続けるならば、われわれは彼らの開発している兵器が周辺の地域や世界にとって深刻な脅威であるという状態がなくなるまで、彼らに圧力をかけ続けるであろう。」
太鼓の音が聞こえているにもかかわらず、ホワイトハウスのある高官は、次の目標がイラクであるとか、軍事力が必ず使用されるであろうとか考えるのは誤りであると述べた。
その高官は、スーダンやソマリアのビン・ラディンのアルカイーダのネットワークが次の目標であるかもしれないし、あるいはフィリピンやインドネシアかもしれない、と述べた。
ある政府高官は、「軍部は10年間にわたりイラクに対するプランを練ってきたし、万一の場合に備えてきた。我々は、今はアフガニスタンが中心である」と述べた。
ローズ・ガーデンでのブッシュの言明は、アフガニスタンにおいてキリスト教を広めたという理由で留置されてきた二人のアメリカ人労働者と共にいる中でなされたものである。質問に答えた際に、ブッシュは、外国からのテロリスト容疑者を裁く非公開の軍事法廷を設置するという彼のプランについての国際的反響については「一切気にしていない」と述べた。
ブッシュ大統領は、水曜日には軍事法廷を利用することになるかもしれない9月11日の事件の8人の共謀者を留置しているスペインの首相ジョセ・マリア・アズナールと会見する予定である。
ブッシュ大統領は、次のように述べた。「そもそも大統領は、戦時には軍事法廷を利用することが出来るはずである。それは国家安全保障の目的にかなっているし、陪審員を守ることにも役立つ。それは、わが国土の安全にもふさわしい。それは正しい決断であるから、このことを尋ねるリーダーには誰にでも説明するつもりである。」
このレポートの作成には、スタッフライターのスティーブン・マフソンの助力があった。