ガンジー非暴力研究所のサイトに(河内謙策訳)


第三回アジア太平洋法律家会議(COLAP。)アピール「平和と発展のためのハノイ・アピール」


 21世紀の初頭に立って、われわれアジア・太平洋の法律家は、2001年10月19日から20日にハノイで開かれた第三回アジア太平洋法律家会議に参加した。われわれは、平和とアジア・太平洋の民衆の発展のために努力することを誓い、世界市民に訴える。

 前世紀、世界は繰り返し戦争の惨禍を味わった。アジア・太平洋地域では、外国の植民地支配や世界大戦、朝鮮半島とベトナムでの戦争と湾岸戦争によって人間の尊厳が著しく踏みにじられ、人間と環境に対するエージェント・オレンジなどの有毒化学物質の影響を含む筆舌に尽くしがたい悪影響が残されている。また、世代を越える非戦闘員を無差別に殺害した核兵器が歴史上初めて投下され、数多くの核実験がおこなわれてきたのも、このアジア・太平洋地域であった。さらに、アジアではいまだに、地域的な紛争が絶えず、人民の自決権が侵害されている。

 われわれは、国際連合がそもそも世界に平和と安全、すべての人の人権と福利を保障するために結成されたことを思い起こし、世界人権宣言および国際人権規約が人間の尊厳に根ざしたさまざまな権利をすべての人に保障するために制定され、その後もいっそう発展しつつあることを重視する。

われわれは、世界の人口の半分を擁するこの地域において、いまだに貧困や飢餓が根絶されずに、自然災害にも無防備であり、豊かな環境において自由に成長発展する権利が確立されていないことに鑑み、人間の存在を確保する最も基本的な権利として、すべての人の平和に生きる権利を実現し、かつ、豊かに発展する権利を確保するように努力することを誓う。

われわれはまた、依然としてアメリカ及び外国の軍隊が韓国、沖縄に駐留し、その他、東アジアおよびインド洋に恒久的な軍事基地が存在することに抗議する。われわれは、テロ行為を弾劾し、人間としての生活からテロリズムを根絶することを目的とするあらゆる努力を支持する。テロ行為に対する防衛に名を借りて現にアフガニスタンに対しておこなわれている戦争は、国連安保理事会の承認もなく、国連憲章第51条など国際法に反するものであり、ますます多くの罪もない人々を殺害し、苦しめ、破壊をもたらすものであって、直ちに停止するべきであり、われわれは決してこれを認めない。南北朝鮮の指導者が署名した共同宣言の精神による朝鮮半島の平和的再統一、パレスチナの国家の樹立に導くパレスチナ・イスラエル間の紛争の平和的解決および群島・島に関する主張の争いの平和的解決が国際法の原則に基づいて解決されることを強く希望する。

われわれはまた、ブッシュ政権が進めようとしているミサイル防衛網の整備が、国際的な軍縮条約、とりわけ核軍縮の国際的誓約に反することを銘記し、アジア・太平洋の諸国政府がこれに協力することを深く憂慮し、アメリカに対して軍事的緊張を高めるすべての処理を直ちにやめるように説得することを求める。

 われわれはさらに、近年、一部の日本政府関係者が示している大国主義的姿勢や戦争責任に対する不明確な態度が、日本といくつかの国との関係に問題を投げかけ、アジア・太平洋の平和と安全に好ましくない影響を与えることを憂慮する。われわれは、日本政府がアメリカとの軍事同盟を再考するように求める。

われわれは、戦争が憎悪と差別から生まれることを銘記し、すべての人々の心の中に「平和の砦」を築き、自らも相互尊重と共生の精神をもって平和の実現に努めることを誓う。

2001年10月20日 第三回アジア太平洋法律家会議参加者一同

 

(河内謙策訳)



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