問い2 「日本社会は資本主義社会といわれていますが、あなたはどういう社会を望みますか? 次のなかからひとつだけ選んで、番号に○をつけてください」
1 現体制 2 改良された体制 3 社会主義体制
問い3 「日本とアメリカとの関係は、いま、うまくいっていると思いますか。そうは思いませんか? 次のなかからひとつだけ選んで、番号に○をつけてください」
1 うまくいっている 2 そうは思わない 3 どちらともいえない
問い4 「日米安保条約は、日本の平和と安全にとって、役にたっていると思いますか? 次のなかからひとつだけ選んで、番号に○をつけてください」
1 役立っている 2 役立っていない
3 かえって危険である 4 わからない
問い5 「あなたは、今の憲法を、改正する方がよいと思いますか。改正しない方がよいと思いますか? 次のどちらかに○をつけてください」
1 改正する方がよい 2 改正しない方がよい
問い6 「あなたは、天皇に対して、現在どのような感じをもっていますか? 次のなかからひとつだけ選んで、番号に○をつけてください」
1 尊敬の念をもっている 2 好意をもっている
3 特に何とも感じない 4 反感をもっている
問い7 「あなたは、日本人は、他の国民に比べて、きわめてすぐれた素質を持っていると思いますか? 次のなかからひとつだけ選んで、番号に○をつけてください」
1 そう思う 2 そうは思わない 3 わからない
問い8 「あなたが会社に入ったと仮定して、デートの約束があったとき、残業を命じられたら、あなたはどうしますか? 次のどちらかに○をつけてください」
1 デートをやめて仕事 2 残業をことわってデート
問い9 「あなたは、あなた自身やあなたのご家族の方について、過労死の不安を感じることがありますか、ありませんか? 次のいずれかに○をつけてください」
1 よく感じる 2 ときどき感じる 3 とくに感じない
問い10 「あなたは、海外渡航の経験がありますか?」 はい いいえ
問い11 「あなたの一番好きな国、および嫌いな国を、ひとつだけあげてください」
問い12 「最後にあなたご自身について、以下の該当個所に、○をつけて下さい」
大学 学部 1 2 3 4年、 男 女
1999年10月から2000年1月にかけて、全国8大学(一橋大学・関東学院大学・跡見女子大学・東京外国語大学・上智大学・久留米大学・九州大学)の政治学者の協力で行われた学生1334人の政治意識調査結果を、8万ヒット記念としてアップしました。数字だけを見ていても、いろいろ考えさせられます。民主主義「よい」が多いのは当然にしても、この15年でだんだん「輝き」を失っているようです。逆に資本主義は「よくない」が減って「戦後民主主義」の対抗概念としての意味を失い、定着しました。自由主義は、なぜか日本では定着しません。共産主義ほどではありませんが、社会主義も「よくない」という拒否率が高まっています。全体主義への「わからない」という回答は、不気味です。資本主義のもとでも、学生たちは改良された体制を求めているのが、せめてもの救いでしょうか。日米関係や安保条約への回答は、時局に左右される度合いが高いのですが、アメリカ人が「うまくいっている」と思っているのに日本人は悲観的になる傾向、学生の中に「日米安保は日本にとってかえって危険」という声がけっこうあることに留意しましょう。天皇について若者が「何とも感じない」というのは予想通りでしたが、憲法改正についてはほぼ半数、特に男子学生では過半数が肯定的であるのは、読売新聞の宣伝だけではありません。国民全般より若年層で改正志向が強いようです。でも学生たちは、ちゃんと日本国憲法を読み通したことはあるのでしょうか? ぜひ英文で味わってほしいものです。経済停滞のもとで「日本人は他の国民に比べてきわめてすぐれた素質を持っている」というナショナリズム・スコア、民族的威信は、学生ではもちろん国民全般でも低下し、海外渡航経験も増えていますが、「デートの約束があっても残業する」という企業帰属意識は、相変わらずのようです。過労死の不安は減っていないにもかかわらず。特に女子学生に「デートより仕事」が多いのは、女性の社会志向の高まりでしょうか、就職が特に厳しいからでしょうか? 私のアメリカの友人たちが、この調査で一番気にする「好きな国」「嫌いな国」ランキング、今年は北朝鮮が悪役を引き受けてあまり目立ちませんが、若者の「嫌米」意識は、根強いものがあります。同時に「好きな国」の常連も日本とアメリカ、まるで倦怠期の夫婦のようですが、実は「グローバル化」が進んでも欧米中心の地球観から抜け出せない、近代日本に通底する問題が孕まれているのです。